このエントリーをはてなブックマークに追加

心にしみる一言(174) 最後は木にしがみつき、枯れてから風に吹かれて散っていく

三秀院のサンシュユ

◇一言◇
 最後は木にしがみつき、枯れてから風に吹かれて散っていく

◇本文◇
 京都市・嵐山の天龍寺の入り口に、三秀院がある。早春に、寺の塀の上からサンシュユの花が見えた。塀の白と黄色の小さな花の組み合わせが目に優しく、住職の奥さんに話を聞いたことがある。
 結婚して寺に入った時には、もうサンシュユの木があったそうだ。話を聞いた時点で30年たっていて、それから10年ほどたつ。
 境内にはいろりろな草木があるが、この木が好きだそうで、「春一番に咲くので、楽しみ」と語った。葉に先駆けて花が咲くことも、魅力の1つだことも。
 花の最後を好きな人はいる。桜や椿の散り際はよく聞くが、ツワブキの立ち枯れて行く様を挙げた人もいた。取り上げた奥さんの言葉も、ツワブキに少し似る。美しさを失いながらも生きていく点だが、ツワブキは最後の最後までしがみつのに対して、サンシュユは桜のように散るのが違う。奥さんの言葉を聞いて、風葬を思い浮かべた。(梶川伸)2018.12.27

更新日時 2018/12/27


関連リンク