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寺の花ものがたり(172) 元興寺(奈良市)桔梗=7月上旬~下旬

2018年7「月7日撮影

 雨の日だった。本堂(極楽堂)に向かうと、左手に桔梗(ききょう)が見える。秋には萩(はぎ)の密集地だが、梅雨の時期はまだ花をつけずに茎が伸びている状態。萩の葉をびょうぶのようにして、桔梗が立っている。
 桔梗を眺めながら本堂の南側を進むと、石仏などを集めた小さな“墓地”につながる。その石の間に、桔梗がたくさん茎を伸ばし、青紫の花をつけている。
 清々しさがあり、花びらの先がとがっていているので、スッキリした姿も見せる。青紫の中に白い桔梗も混じり、清らかさを増す。
 そんな清楚は花だから、石仏の縁取りとして似合うし目立つ。一方、僧坊の黒い板壁をバックにすればいっそう浮き立ち、雨の中でも爽やかさを届けてくれる。
 茎の細さが上品さを演出する。しかし、花が大きいので雨に打たれると、うなだれてしまう桔梗もある。そんな時は、雨をうらみたくもなる。

◇元興寺(がんごうじ)◇
 奈良市中院町11。近鉄奈良駅から徒歩20分。0742-23-1377。飛鳥時代に蘇我馬子が建立したとされる飛鳥寺(法興寺)が前身。平城京の造営にともなって、現在地に移転し、南都七大寺の1つとなった。今はその一部の伽藍を伝えている。本尊は智光曼荼羅。入山有料。
(梶川伸)=状況が変わっている可能性もありますので、ご了承ください2018.07.09

更新日時 2018/07/09


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