心にしみる一言(160) 朝からうどんを踏んでいるので、店を開いているのは昼過ぎまでが精一杯
◇一言◇
朝からうどんを踏んでいるので、店を開いているのは昼過ぎが精一杯
◇本文◇
讃岐うどんブームを牽引した店の1つに、山越(香川県綾川町)がある。遍路旅の先達(案内人)をしているので、しばしば皆さんを連れて行く。
半分セルフサービスの店。うどんの玉の数を注文すると、丼に入れてくれる。トッピングするものを皿に入れ、一緒に料金を掲載してもらう。
うどんの玉を頼む時に、食べ方も告げる。多いのが「かけ」(大阪でいう素うどん)と「かまたま」。かけは自分で丼につゆを注いで、自分の席で食べる。
かまたまは釜揚げうどんの卵かけ(卵かけご飯のうどん版)。山越の名物で、しょうゆを回しかけて食べる。
1996年に高松市に赴任した。知り合った居酒屋さんの大将が讃岐うどんを食べに連れて行ってくれたことがある、それが山越だった。ブームに乗って大きな店になったが、そのころはまだ小さな店だった。店の主人は小麦粉を練ったうどんのタネの上にビニールを被せ、足で踏みながら客の応対をしていた。
営業時間は、うどんの玉がなくなるまでで、遅くても午後1時ごろまでだった。その理由を聞いた時の答が上記の言葉だった。もう少し詳しく書くと、次のようになる。
「朝からうどんを踏んでいるので、店を開いているのは昼過ぎがまでが精一杯。マラソンみたいなもんだから、それ以上は体がもたん」(梶川伸)2018.06.28
更新日時 2018/06/28