心にしみる一言(159) 人間に1番近い仏かもしれない
◇一言◇
人間に1番近い仏かもしれない
◇本文◇
随分昔、奈良市の不退寺を訪ねたことがある。在原業平が建立したとされる。本堂の聖観音に参ると、寺の僧の説明が大変分かりやすかった。
平安初期の一木彫の仏像。両耳あたりから、専門用語でいう宝冠帯が長く垂れている。それをリボンと言い換えた。ちょうちょ結びで、女らしさを演出しているように見える。本来、仏に男女はない。しかし、「聖観音はもとはバラモンの女神」と説明を聞くと、女性としての自己主張が、リボンなのかもしれないと思ってしまう。
そんな思いで見ていると、僧は取り上げた言葉を口にした。色ははげ落ち、ホタテ貝で作った下地のごふんが出ているため、全身真っ白。豊満な体を包む白いごふんは下着とも見え、その上に羽織っていた極彩色の花柄の上着まで目に浮かんでくるようだった。(梶川伸)2018.06.22
更新日時 2018/06/22