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心にしみる一言(155) 防災計画は立派な計画であるほど分厚くて役に立たない

毎日新聞2002年1月27日「西論風発」

◇一言◇
 防災計画は立派な計画であるほど分厚くて役に立たない

◇本文◇
 片山善博さんは防災対策を訴えて鳥取県知事になった。県の防災体制を見直し、大規模な防災訓練をした直後に、鳥取県西部地震(2000年)が起きた。幸い死者はなかった。偶然かもしれないが、対策をとっていたことの効果もあったのではないか。
 地震の教訓を役立てるため、鳥取県がシンポジウムを開いた際に、そのシンポと県庁を取材した。片山さんが語った言葉で記憶に残ったのが、取り上げた言葉だった。
 「(鳥取県にも)地域防災計画に基くものがあったが、立派な計画であるほど分厚くて役に立たない。中身は現場で作動しない。重要な部分が現実離れしている。例えば、自衛隊の出動を要請する時に、どこのだれに電話をすればいいかが書いてない。自分の問題だから調べた。電話帳にして、これが役にたった」
 県幹部には、災害が発生した際に自分がすべきことをA4の紙1枚にまとめさせた。取材した幹部は、食糧担当だった。防災計画には、避難所へ米を供給すると書いてあった。
 しかし、阪神大震災でもそうだったが、水道やガスが止まってしまえば、米は炊けないから役にたたない。幹部がA4の紙を見せてくれた。仕出し業、弁当業の地区ごとの代表者の名前と電話番号があった。それだけの簡単なものだった。「業者の団体と提携協定を結んでいる。鳥取県のある地区が被災しても、ほかの地区から炊き上がったご飯を届けてもらう」。それがいざの時の、その幹部の役割だった、(梶川伸)2018.05.08

更新日時 2018/05/08


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