寺の花ものがたり(139) 大安寺(奈良市)山茶花=11月後半~12月上旬
奈良市の大安寺は奈良時代、南都七大寺の1つだった。境内は自由に入れるのに、市中心部から少し離れているせいか、今は参拝客がそれほど多いわけではない。晩秋から初冬にかけての時期は、境内の色も豊富で、ノンビリするには良い寺だと思う。
境内は山茶花(さざんか)に覆われているわけではない。それでも、20本近くはあるだろうか。山門を入ると左手に大きな木があり、白く大きな一重の花をつけている。沈んだ色の山門との相性がいい。右手には、円柱状に刈り込んだ白の山茶花も迎えてくれる。
本堂の方に向かうと、「いのちの小径(こみち)」と名付けられたちょっとした竹林があり、その中を細い道が通っている。竹に混じって、八重の白と赤の一重の山茶花が色を添える。
短い道を抜けると、銀杏(いちょう)が黄色が待ち構えていて、枝には葉をふんだんにつけていながら、地面も黄色に染めていた。紅葉の赤も加わり、本格的な寒さに向かう時期であっても、華やいだ気持ちになる。
寺務所のそばにも、赤の八重と一重の木が数本。写経場の堂の周りは、山茶花が生け垣のようになっていて、赤とピンクと白のグラデーションを見せていた。
◇大安寺(だいあんじ)◇
奈良市大安寺2-18-1。JR奈良駅・近鉄奈良駅から大安寺・白土町・シャープ前行バスで10分、大安寺バス停下車、徒歩10分。開基は聖徳太子と伝えられる。本尊は十一面観音。竹供養とがん封じの祈祷法要(6つい23日)、がん封じ・ささ酒祭りの光仁会(こうにんえ)(1月23日~で知られる。境内は自由。建物内の拝観有料。
(梶川伸)状況が変わっている可能性もありますので、ご了承ください。2017.1.03
更新日時 2017/12/03