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編集長のズボラ料理(283) トマトとチーズのハチミツレモンサラダ野イチゴ添え

果物を使ったサラダには、ハチミツとレモンがよく合う

 料理で「なんちゃらのなんちゃら〇〇添え」というのがある。「添え」が付くと、それだけでおしゃれで粋な料理に感じてしまう。つまり僕は添えに弱い。だから今回は、添えにこだわってみた。ただ、添えるのは、そう簡単な話ではない。
 暇だからよく散歩をする。何年も散歩をしていると、いつごろ、どこに何があるか、だいたい分かってくる。今回はある宝石を探しに行った。
 自宅から歩いて30分ほどの場所に奈良大学があり、そばに赤い宝石がある。道端から雑木林となり、その始まりの草むらに隠れている。
 野イチゴの種類で、草イチゴとか冬イチゴだとか言う人がいるが、面倒くさいから確かめたことがない。だから勝手に、大学ルビーと名づけている。指輪にするわけでもなく、お宝鑑定団に出すわけでもないが。
 大学ルビーは小さな赤い粒々が丸く固まっている。なるべく赤が濃くて、2カラット以上ある大きいものを摘む。でも、そう簡単な話ではない。大量に摘んでると、足に3つ並んだ赤い粒ができる。ルビーがくっついたわけではない。虫に刺されたのだ。2回に1回は足のルビーを覚悟しなければならないのだ。
 食べるのも、そう簡単な話ではない。車も通る道だし、犬がおしっこをしているかもしれない。大事に家に持って帰る。下手をすろと、握っている手が真っ赤になり、血だらけの殺人犯と間違えられる。交番の前をそっと通って家に着き、水洗いしてやっと口にする。
 食べ始めると、甘酸っぱい野の味がする。しかし、たくさんだと食べ切れない。残ったものをどうするか。それは簡単な話ではない。
 冷蔵庫を開けると、トマトが1つだけ眠っている。4個入りが安いのでスーパーで買い、3つまで食べたて、少し間隔を置いていたのだ、皮がしわしわになりかかっている。早く食べなくては。
 アボカドも半分だけあった。大きいのがお得な感じがしたので買ってみたものの、大きいので半分しか使わなかった。切り口を見ると、黒ずんできている。その部分を切り取って、早く使わなくては。
 箱入りのクリームチーズは、2個が所在なさげにしている。段ボール箱で送ってもらったリンゴも、最後の1つがテーブルの上で出番を待っている。このような台所事情から、ついに〇〇添えをやってみようと決意した。
 トマト、アボカド、リンゴ、クリームチーズを適当に切って皿に盛る。ハチミツをかけ、レモンをしぼる。そして長い道のりではあったが、ここでルビーを添える。
 料亭でもなく、フレンチの店でもなく、自宅で添えるのだから粋ではないか。ただ、冷静に考えれば残り物の処理だ。だから材料は何でもいい。要はハチミツとレモン、それに自己満足で添える〇〇があれば、それで足りる。(梶川伸)2017.11.07

更新日時 2017/11/07


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