寺の花ものがたり(127)大覚寺(京都市北区)嵯峨菊=11月上旬~下旬
秋の京都は、人であふれている。大覚寺で嵯峨(さが)菊を見た時も、嵐山は大変な人だった。歩いて大覚寺まで行ったのだが、その人込みを避ける気持ちもあった。
寺の前に、嵯峨菊の鉢が並んでいた。何と繊細な。それが最初の印象だった。花びらが細くて長い。「糸のように」の表現はオーバーではあるが、そう書いてもよいほどきゃしゃに見える。背は高いが茎は細く、支柱に頼りながら立っていて、その姿がしなやかに感じる。 色は赤、黄、藤色、白。気品があるのだが、鮮やかでもある。もし花びらが普通の菊の大きさであったら、ちょっと自己主張が強くて嫌みに感じるかもしれない。調べてみると、嵯峨菊は近くの大沢池の菊ヶ島に自生していた野菊で、明治中期に品種改良が進んだと書いてあった。
実は散策が目的だったので、寺の中には入らなかった。ところが嵯峨菊は約800株もあり、11月に公開しているのだという。悔いが残る。
◇大覚寺(だいかくじ)◇
京都市右京区嵯峨大沢町4。JR嵯峨嵐山駅から徒歩約20分、阪急嵐山駅から徒歩約35分、京福嵐電嵯峨駅から徒歩約25分。075-871-0071。開基は嵯峨天皇で、離宮を寺に改めた。真言宗大覚寺派大本山。本尊は五大明王。拝観有料。(梶川伸)=状況が変わっている可能性もありますので、ご了承ください。2017.10.10
更新日時 2017/10/10