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心にしみる一言(122) 季節に合わせて、あるもんを一緒に煮るだけ

◇一言◇
 季節に合わせて、あるもんを一緒に煮るだけ

◇本文◇
 1996年から97年にかけての1年5カ月、高松市に住んでいた。せっかく香川県にいるのだからと考えて、讃岐うどんの店を食べ歩いた。その数609件。変わった店も多く、店では印象に残る言葉もたくさん聞いた。これもその1つ。
 高松市東植田町の目立たない店だった。セルフサービスなので、うどん玉をどんぶりに入れてもらう。鍋が置いてあり、その中に入っているつゆを自分でかけて食べる。
 鍋のふたを取ってみると、意外なつゆだった。野菜がたくさん入っていて、しっぽくうどんのような味わい。当時の値段で120円だった。
 店の女将が言ったのが、取り上げた言葉だった。店の女将は「私が子供のころに食べた味。田舎の味ですよ。季節に合わせて、あるもんを一緒に煮るだけ」。私が食べた時は、イリコだしに、大根、ニンジン、玉ネギ、ゴボウ、コンブが入っていた。
 春にはタケノコばかりを煮る。11月に狩猟が解禁になると、夫がとってきたイノシシや山鳥も入るらしい。「もう1度、冬に来る」と女将に話したが、転勤になって約束は果たせなかった。(梶川伸)2017.09.02

更新日時 2017/09/02


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