寺の花ものがたり(115)戒長寺(奈良県宇陀市)秋海棠=9月上旬~下旬
戒長寺は、大和富士を呼ばれる額井岳の山ろくにある。普段は人の姿を見るのはまれだ。それだけに、静かなたたずまの寺と言えなくもない。
ただ11月中旬から下旬にかけては、カメラを手にした人が訪れるそうだ。境内に樹高30メートルの銀杏(いちょう)の木があり、境内を一面の金色に染めるらしい。
私が訪ねたのは銀杏の2カ月前だった。目的は秋海棠(しゅうかいどう)。案の定、ほこに参拝者はいなかった。
幅1.5メートルほどの石段を登る。鐘がついた小さな山門をくぐるり、古ぼけた本堂にお参りする。本堂の右側が斜面になっていて、一面に秋海棠が咲いていた。日が当たらない場所で、ピンクがしっとりしている。
派手な花ではない。濃い目のピンクの細い茎のようなものが垂れ下がり、その先に薄目の花びらと、小さな黄色い毛糸のような玉がついていて、よく見れば可愛くもある。
◇戒長寺(かいちょうじ)◇
奈良県宇陀市榛原戒場386。近鉄大阪線榛原駅から奈良交通の針インター行きバスで7分、玉立バス停下車、徒歩約40分。0745-82-2841。本尊は薬師如来。創建は平安時代後期。志納料。
(梶川伸)=状況が変わっている可能性もあるので、ご了承ください2017.08.04
更新日時 2017/08/04