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寺の花ものがたり(108) 両足院(京都市東山区)半夏生=6月上旬~7月上旬

2017年6月13日撮影

 梅雨の時期、涼やかな庭がある。京都・建仁寺の塔頭、両足院の書院の縁に座り、半夏生(はんげしょう)の庭を眺めると、蒸し暑さがゆっくりと去っていく。
 庭園の中心は池になっている。その周りを、たくさんの半夏生が縁取りする。すっと垂直に伸びた茎から、紡錘形(ぼうすいけい)の葉が幾重にも出る。葉の緑は濃いわけはなく、黄緑にも近いから清々しい。花が咲くころに、上の方に葉だけが白く変わる。その緑と白の組み合わせが、あたりの気温を下げるように感じる。
 花は小さな穂のようで、ごく薄い緑を帯びた白。咲き方は弓なりになって垂れ下がる。地味だし、姿もそう美しいものではない。だから、半夏生は葉を楽しむ。その風情を。
 半夏生とはもともと、暦の上で七十二候の1つで、夏至から11日目のことを言う。7月2日ごろになる。植物の方の半夏生は、このころに花をつけ、葉が白くかわるので、その名がある。
 庭に目をやりながら、寺の人の説明に耳を傾ける。「白く変わる葉は上から3枚だけ。しかも表だけ。花が終わるとまた碧に戻る。やがて茶色に枯れている」、だから、「半化粧」の名もある。

◇両足院(りょうそくいん)◇
 京都市東山区大和大路通市場下る4丁目小松町591。075-561-3216。京阪電車祇園四条駅から南東徒歩10分。臨済宗・建仁寺(けんにんじ)に法堂の東に位置する塔頭(たっちゅう)。本尊は阿弥陀如来。初夏に半夏生の庭の特別拝観がある。2017年は5月26日~7月6日。大人600円・庭園散策と茶室「水月亭」の拝観と呈茶は別途500円。
(梶川伸)=状況が変わる可能性もあるので、ご了承ください2017.06.14

更新日時 2017/06/14


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