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心にしみる一言(56) 意識はあるが、アウトプットできないだけ

2002年7月12日の毎日新聞

◇一言◇
 意識はあるが、アウトプットできないだけ

◇本文◇
「頭部外傷や病気による後遺症を持つ若者と家族の会」の集まりに参加させてもらったことがある。植物状態という言葉のむごさが話題になった時、ある夫婦が言ったのが上の言葉だった。
交通事故にあった息子は、自分では何もできなくなってしまった、と思っていた。ところが3カ月後、夫婦には思いもかけぬことが起きた。なにげなく「じゃんけんをしよう」と話しかけると、息子はゆっくりとグーとパーを作った。その時から、親子は対話を再開することができた。
「それまでも意識はあったと思う」。夫婦はそう確信している。ただ、意思を伝達する手段を持ち合わせていないか、あるいは伝達していても受ける側が気づかないだけかもしれない。意思はあるのだ。植物状態に代わる言葉がほしい。(梶川伸)
=2002年7月12日の毎日新聞に掲載したものを再掲載2016.02.14

更新日時 2016/02/14


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