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心にしみる一言(52) 少しでも死ぬと思ったら死ぬで

2002年6月7日の毎日新聞

◇一言◇
 少しでも死ぬと思ったら死ぬで

◇本文◇
 友人のノンフィクション作家、柳原和子さんががんと闘っている時、毎日午後3時に電話をかけてきた男性がいた。毒舌が優しい人だという。
 大阪HIV訴訟では、原告番号2番の匿名の男性だった。血友病、HIV、B型、C型肝炎の履歴を持つ。2人の対談がテレビで放映された。
上の言葉は、「立ち上がってこい」という意味だった。「ベッドでじっとしていると、精神まで病気になる。それが敗北につながる」
彼女を見舞った時、病院を抜け出して小料理屋に行った。5年生存率20%と告げられながらも、「悪い患者になれ」の勧めに従ったのだろう。
「欲がなくなくなり、もういいやと思ったら負け」。手術から5年たった彼女が聞いた。「もういいや、と思った時もあったでしょう」「ない」(梶川伸)=2002年6月7日の毎日新聞に掲載したものを再掲載2016.01.07

大阪HIV訴訟

更新日時 2016/01/07


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