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編集長のズボラ料理(126) 桜エビの炊き込みご飯

具は自分の好みで

 春になるのが待ち遠しい食べ物がある。桜エビもそうだ。
 桜エビといえばかき揚げである。春は桜エビ、桜エビはかき揚げと、三段論法で証明されている。あのエビせんのような香ばしさがたまらない。
 では、春以外はどうすればいいのか。香川県観音寺市の志満秀(しまひで)のエビせんべいと食べるか、名古屋市の坂角(ばんかく)のエビせんべいを食べるか、あるいは次の春がくるまで、ひたすら待つという3つの選択肢しかない。
 ところが、ちょっと異変が起きている。以前、桜エビといえば、知り合いが静岡から送ってくるものだった。今ではスーパーにもある。ゆでた桜エビが普通だが、時には生も並んでいる。
 それどころか、春でもないのに売っていることがある。そういえば、豊中市・蛍池のソバ屋さんで、まだ春にはほど遠い時期に、桜エビのかき揚げソバがあった。うれしくなって、「もう桜エビを食べたで」と、みんなに高らかに言いふらしたことがある。今思えば、あさはかだったかもしれない。
 桜エビが春以外にも食べられるということは、大変なことである。志満秀や坂角は、1つの役割を終えることになる。それでは立つ瀬がないではないか。
 さて、かき揚げだが、これにも問題がある。三段論法の構図が崩れる可能性が結構高いのだ。かき揚げには、かなりのスキルが必要になるからだ。僕の場合、桜エビのかき揚げを10個作ろうとすれば、成功はせいぜい2個から3個にとどまる。あとは、桜エビがバラバラになって、油の中で泳ぎ回る。
 バラバラでも香ばしさは変わらない。でも、それでは春にも桜エビにも申し訳ない。ということで、かき揚げは諦めて、炊き込みご飯に方向転換する。
 桜エビのほか、あげ、シイタケ、コンニャク、竹輪を小さく切って使う。桜エビ以外は、しょうゆとみりんで、軽く下味をつけておく。洗った米の上にコンブを乗せ、具を入れて、しょうゆを加えて炊く。これなら成功率は高い。(梶川伸)2015.03.31

更新日時 2015/03/31


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