編集長のズボラ料理(838) ゆで卵とスイートバジルのサラダ
随分前のことになるが、弟夫婦が遊びに来た時、料理好きの奥さんが土産を2つ持ってきた。アンチョビソースとバジルペーストだった。「この2つがあると、何でもイタリアンになる」と言った。
僕はイタリア料理には、偏見を持っている。どうせ、スパゲッティーとピザだろうと決めつけてしまうからだ。偏見は無知から起こるが、その通りである。
僕は子どものころからスパゲッティーと言って育ってきたが、世間ではパスタと言うらしい。それがどうもなじめない。
子どものころはケッチャプをかた細長いスパゲッティーサラダがすべてだった。いふくろがよく作っていた。成長するうち、どうもそうではないらしいとわかっていく。マカロニもケチャップで食べていたが、パスタの一種だと知り、スパゲッティーもそういう分類だと知り、衝撃を覚えたものだ。
イタリアンに対する知識はそんなものだったから、2つのプレゼントは目からうろこで、土産には重宝した。それ以来、2つは常備品となった。
特にバジルペーストはよく使う。朝食に食パンを焼く。まずパンにバターを塗る。②は飛ばして③はベーコンを乗せる。④はトマト⑤はとろけるチーズ⑥はスライスしたタマネギを乗せ、⑦でタバスコをふり、⑧ケチャップを絞り⑨で焼く。⑩でレタスをかぶせる。これが僕のオーソドックスなトーストである。
②だけは変動する。通常はバターの上にバジルペーストを塗る。いつも同じでは芸がないので、しばしば粒マスタードに変える。つまり、ピザトーストをイメージしている。結局はイタリアン。ここでも、無知の偏見が頭をもたげてしまうのだ。
そこで、和風への転換を図ることがある。梅肉にしてみる。ユズコショウも使う。みその時もある。つまり何でもありのグチャグチャになる。
これでは節操がない。原点に戻るつもりで、便利なバジルペーストではなく、スイートバジルの苗を買ってきた。プランターで育て、ピザトースト風の時に摘んで使った。②は省いて、スイートバジルはレタスの代わりにした。やっぱりイタリアンがいいのだ。
今回は トースト以外。ゆで卵を作り、1つを6つか8つくらいに来る。スイートバジルはちぎる。軽く塩、コショウふり、バージンオリーブオイルをかけ、レモン汁を垂らす;
ケチャップのスパゲッティーは大人になって、店で食べるとナポリタンと呼ばれると知った。たかが、ケチャップ・スパゲッティー、と思ったものだが、歳をとってからその奥深さを知る。遍路旅の先達(案内人)として昼ご飯の店を探していると。愛媛県西条市が伊予西条ナポリタンでまちおこしをしていることがわかった。そこで「マルブン」という店に予約をして行ってみた。大変な人気で、並んでいる人もいた。ナポリタン、侮るべからず。(梶川伸)2025.11.23
更新日時 2025/11/23