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編集長のズボラ料理(95) ゆでイカのメンタイコ・オイル和え

オリーブオイルとメンタイコの比率は好みで

 イカはウーロン茶の味がする。僕はとんでもない体験をしたことがある。
「ロードレーサー」というタイプの自転車を、先輩記者にもらった後だった。どこかに行ってみよう。車輪を取り外しできるので、本体とで3つに分解し、袋に詰めて列車に乗った。目的地は京都府の丹後半島で、目的は日本海の夏の幸。
 天橋立で降りて自転車を組み立て、さあ出発。海を見ながら走って、1時間あまりで伊根に着いた。舟屋で知られる場所である。半分は海の上に立った2階建ての建物で、1階は船、その奥と2階が人の領分となっている。
 舟屋を見学しながら、「うん?」と思うことがあった。僕にとっては、時速22~23キロが快適なサイクリングである。気持ちよく走ったつもりだったが、ちょっとだけ遅い気がした。
 舟屋から登り道になった。そのとたん、体中から根性が蒸発してしまい、暑いは、しんどいわ、のどが渇くわ。当時はウーロン茶全盛時代で、自動販売機で缶のウーロン茶を買った。この時点では、「何か変だな」程度だった。
 ところが、根性はあまり補給されない。しばらく走ると、根性メーターの針ばまたゼロになる。仕方がないから。もう1缶飲む。今度は少ししか走れない。やむ得ず、もう2缶飲む。それでもダメだ。そこで、「これは、おかしい」に変わった。
やけくそで海水浴場に寄って体を冷やしたり、2リットル入りのジュースも買ったりして、ダラダラと自転車を進めた。伊根からホテルまで60キロ弱。普通なら3時間ほどだが、海に入ったこともあって、その倍近い時間がかかった。
 その間に飲んだのは缶のウーロン茶11本、2リットルジュース1本。後で分かったのだが、その日はその年で1番暑い日だった。僕は熱中症状態だったに違いない。
 宿に着いて一服すると、根性指数が70まで回復した。さあ、ビールだ、ビールだ。ホテルの人に、白イカを食べるように勧められ、近くの居酒屋さんに飛び込んだ。
 「生1つ」。生ビールをのどに流し込んだ。「?」。おかしい、ウーロン茶の味がする。
 白イカの刺し身がきた。はしで何枚もいっぺんに口にかき込む。「??」。おかしーいっ! ウーロン茶の味がする―っ。
 夕食は何を飲んでも、何を食べても、ウーロン茶の味だった。それ以来、熱中症とウーロン茶の飲み過ぎには、注意することにしている。
 イカは皮を取る。面倒臭ければ取らなくてもいいし、皮をはいだものを買ってきてもいい。適当な大きさに切って、軽く塩を入れた湯でゆでる。ゆでたイカは水分をふいておく。オリーブオイルにメンタイコを入れて混ぜ、ほんの少し白だしを加える。それを皿に盛ったイカにかける。(梶川伸)2014.08.11

白イカ 丹後半島

更新日時 2014/08/11


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