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編集長のズボラ料理(94) モヤシのブルーチーズ炒め

彩りにパセリかバジルを振りかけても良い

 モヤシのひげ、つまり根の部分を取るか取らないか、これは大問題である。
 ひげ取りは面倒くさい。だから、できるなら、取りたくない。モヤシ1袋のひげを取るのに、5分はかかる。そんな時間があれば、ビールでも飲んでいた方がましだ。
 電気かみそりでひげをそるにしても、5分はかからない。電気ひげ取り器があればいいのだが、パナソニックも東芝も商品化しいていないと聞いている。だから、手作業になる。
 手作業をちょっとスピードアップすると、モヤシ10本に1本は、ひげではない方を間違って捨ててしまう。その場合、捨てた方を拾い直さなければならないから、所要時間は変わらなくなる。しかも、作業を速めるのに正比例して、間違って捨てる数が増えるという厳然たる方程式があるから、下手にあがかない方が結局は得なのだ。
 友人の女性が焼き肉・韓国料理の店をやっていたことがる。店をのぞくと、暇な時はいつも、ナムルにする豆モヤシのひげを丁寧に取っていた。「なんで、そこまで丁寧に?」と聞くと、「愛情よ」と答えていた。
 僕には、モヤシに対する深い愛情はない。だから、できれば、手を抜きたい。それに、友人は「愛情」というが、チジミの焼き方や、キムチの作り方についても、「大事なのは愛情」と言っていたから、どうも怪しい。単なる口癖の可能性がある。もし、本当に愛情が必要だとしても、スーパーには売っていないから、どうにもならない。
 スーパーで売っているのは、根切りモヤシである。これを買えば、ひげ取りの苦労はいらない。しかし、ここにも大問題がある。根切りモヤシは高いのだ。それだけではない。思いきって根切りモヤシを買ったとしても、ひげが残っているものが混じっている。せっかくだから、そのひげを手で取る。そして、後悔する。普通のモヤシにしておけばよかった。しょせん、モヤシは添え物だから。
 では、モヤシを主役にしたらどうなるか。その場合は胸を張り、迷うことなく根切りモヤシを買う。残っていた根も、時間をかけて丁寧に取る。時には愛情も必要だろう。
フライパンを熱し、油はひかずに、モヤシとブルーチーズ(青カビのチーズ)を入れて炒める。チーズが溶けて、モヤシにからまったらできあがり。
 見た目はモヤシだけなので、堂々たる主役である。ただ、これも大問題を抱えている。モヤシの値段の何倍もするブルーチーズを脇役にしてよいのか。ブルーチーズはそのまま、酒のあてにした方がいいのではないか。ウーム。(梶川伸)2014.08.03

根切りモヤシ

更新日時 2014/08/03


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