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編集長のズボラ料理(91) 焼きナスの生ハム巻き

焼きナスにしょうゆをたらして巻いてもいい

 生ハムというと、立食パーティーのイメージがある。たいていは、切ったメロンを巻いている。メロンは高級な果物で、生ハムも高価な雰囲気を醸し出すので、パーティーの食べ物の中で、確固たる地位を確立している。
 デパートの高級果物売り場で独自調査をしたことがある。何が高いかを調べたのだ。その結果は、メロン、サクランボの佐藤錦、熊本の黒スイカ、マンゴーが上位に並んだ。
 その4種を、さらに詳細に比較する。黒スイカも健闘するのだが、10000円までにはならないし、しかも総体積が図抜けて大きく、単位当たりの高級さでは敗退する。佐藤錦は箱にきれいに並べられているが、デパートで売っている箱の容量は決まっているようで、なかなか容量の限界を突破できない。マンゴーが羽振りをきかしてきたのは、ここ10年ほどである。言ってみれば、高級果物界の成り上がり者である。
 このように厳正は審査の結果、メロンが最高級果物の栄冠に輝くこととなる。だから普通は、自分で買うことはない。食べようと思えば、病気で入院して、暗に見舞いを要求するか、パーティーに参加する以外にないのである。
 生ハムの高価感は、ひとえにその薄さにある。それが厚ければ、普通のハムと大差がなくなって、平凡感が出てしまうに違いない。
 僕にとって、生ハムを庶民レベルに引き下げてくれたのは、うちにそばのイオンに入っていた輸入食材などの店「カルディー」である。生ハムの切り落としが真空パックに詰めてあり、時々安売りする。それを買ってくる。
 10枚以上入っているのに、値段は300円台だから、気遅れすることはさらさらない。バクバク食べることはできる。ただし、メロンは巻かない。問題があるとしたら、真空パックの中で圧迫されているので、1枚ずつがはがれにくいことだ。ガバガバ食べるのなら、2、3枚重なったままで食べればいいと思うかもしれないが、時間がかかっても1枚にして、スケスケ感を確認してから食べる。それが、高価感ある生ハムへの礼儀というものである。
 メロンと何のゆかりもないが、ナスを使う。焼きナスにして皮をむき、適当な長さ、太さに裂いて生ハムで巻き、あればバジルペーストをつけて食べる。ナスの庶民性とのコラボである。(梶川伸)

編集長のズボラ料理 黒スイカ 佐藤錦

更新日時 2014/07/12


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