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豊中運動場100年(25) 社会人野球の会場に定着 春、秋の年2回開催に

大阪実業団野球春季大会で優勝し、優勝旗を手にする大日本人造肥料チーム=大阪毎日新聞紙面から

  不況が深刻になったことに加え、欧州での戦火が拡大して日本を巻き込んだ世界大戦となった1914(大正3)年。豊中運動場は開場のお祝いムードにあふれた前年と違って地味な1年になった。
 全国レベルの大会が影を潜める中で、グラウンドをにぎあわせたのは社会人野球。2~3年前から増えてきた実業団チームが週末ごとに熱戦を繰り広げた。
 「人気も実力も学生野球に及ばない」と酷評するファンもいた。しかし、当時の大阪毎日新聞は「チームも年とともに各学校卒業生の加わるに従って面目を改め技量も上達して引き締まり来たれり」と伝えるほどに成長した。
 4月には、美津濃商店主催の大阪実業団野球春季大会が開かれた。豊中運動場では前年の秋に続いて2回目の開催。全国の先陣を切って開催した社会人野球の大会であり、その会場としてすっかり定着した。
 ベスト4には大日本人造肥料、大阪税関、津田商店、高島屋呉服店が勝ち上がった。
 4月3日の決勝は大日本人造肥料―大阪税関の実力チームの対戦となった。終始リードしていた大阪税関に対し、人造肥料は9回表に4点を返して同点、そのまま延長戦に突入した。勢いづいた人造肥料は10回表に2死から2点を挙げ、見事な優勝を飾る。手に汗握る接戦に観客の興奮は頂点に達した。
 大阪実業団野球大会はこの年から春と秋の年2回開催となり、10月には秋季大会が開かれた。ベスト4に大日本人造肥料、津田商店、近江銀行、鈴木商店が勝ち進み、10月4日の決勝は大日本人造肥料と津田商店の対戦になる。
 決勝は、安定した強さを誇る大日本人造肥料が制し、春季大会に続いて2連覇を飾った。大日本人造肥料は日本初の化学肥料製造会社で現在の日産化学工業。社会人チームとしては全国有数の実力チームだった。
 おまけの話がある。
 決勝の1週間後に大日本人造肥料は豊中運動場で伊丹中学と交流試合を行った。伊丹中学はこの日、2試合目であるにもかかわらず大日本人造肥料に大勝した。学生野球と社会人野球にはまだ実力差があったようだ。(松本泉)

◆大阪実業団春季大会(4月3日)
◇準決勝
大日本人造肥料 7―3 津田商店
大阪税関   17―3 高島屋呉服店
◇決勝
大日本人造肥料 8―6 大阪税関
◆大阪実業団秋季大会(10月4日)
◇準決勝
津田商店   11―1 近江銀行
大日本人造肥料 9―3 鈴木商店
◇決勝
大日本人造肥料 8―3 津田商店

大阪実業団野球大会 大日本人造肥料 大阪税関 津田商店 高島屋呉服店 近江銀行 鈴木商店

更新日時 2014/06/05


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