編集長のズボラ料理(78)だしの粉そのまま焼き飯
遍路仲間5~6人が毎月1度、反省会という名目で集まる。何を反省するのか、だれも分からないまま集まる。惰性のようなものである。
去年の夏からは、新大阪駅の北側にある中華料理店「小麦ランド」が反省会場になっている。深い意味があるわけではない。値段がリーゾナブルなのも理由の1つだ。しかし本当は、メンバーの1人の家に近いという、ごくエゴイスティックな理由である。
僕にとっては、面白い因縁がある。以前、新大阪駅の南側にあるニューオオサカホテルで中華料理を食べ、アンニン豆腐が気に入った。数年たって、友人となぜかアンニン豆腐の話になり、僕はそのホテルの名を挙げた。すると、友人はJR天満駅の北側の紫微星がいいと言い張る。
僕は勝負に出た。相手に「アンニン」と、いや「カンニン」と言わせようと考え、2人で両方の店に行って、白黒をつけることにした。まず紫微星へ。その時点で、あっけなく勝負は引き分けと判明した。そのホテルの出身者が開いた店だったのだ。だから、同じ味。何や。
そして、数年たって小麦ランド。この店を見つけた新大阪のメンバーは、アンニン豆腐がお薦めだと主張する。僕にも自信がある。そこで、またアンニン対決となった。ここも食べる前から引き分けと決まった。この店はホテルの直営店だった。だから、同じ味。何や。紫微星は北極星のことだが、何と夏の大三角形が完成してしまった。
反省会のまとめ役は、反省会長という。名誉職だから役割は1つしかない。コップにビールが入り、互いにコップを合わせる時、高らかに会の始まりを告げる。「ハンセーイ」
後は、1人が1品ずつ頼み、みんなで分け合いながら食べる。ただし、ギョウザ2人前だけは誰の注文でもなく、当然のようについている。それと、女性メンバーはアンニン豆腐も。
先日の反省会で、1人が初めて焼き飯を頼んだ。みんなハッとした。そうだ、中華の王道をすっかり忘れていた。アンニン豆腐どころではない。焼き飯なのだ。やっと反省の材料ができて良かった。有意義な反省会だった。
簡単な焼き飯。ボールにご飯を入れる。味つけは、イオンの天然だしパックのようなもの。つまり、カツオかイリコか、アゴ(トビウオ)を干したものを粉末してパックに入れたものを使う。袋を破り、ご飯にかける。卵を割って、ご飯、だしと一緒にかき混ぜる。フライパンに油をひいて、かきまぜご飯を炒め、砂糖、塩、コショウ少々、刻みネギ大量、しょうゆ好みでさらに炒める。粉末が少しジャリジャリしいて気になる人がいるかもしれないが、それは食感と思えば良い。(梶川伸)
更新日時 2014/03/14