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池田の行きつけ⑨ 丸福

吉岡さん(左)と福原さん。「私が嫁に来たころは、新町もたくさんの店が並んでいたんだけどね」と懐かしむ

 五月山と猪名川の間を通る国道173号沿いに、「創業大正12年」と記されたのれんを掲げた店がある。戦前戦後の池田を見つめてきた、うどん屋「丸福」だ。
 行きつけにしているのは、池田の街の活性化事業を担う「いけだ3C」の吉岡博充さんだ。「子どものころから店の前は通ってたんですが、のれんをくぐったのは会社に入ってから。とにかくダシがうまいんです」とほれ込む。
 店は福原末子さんが1人で切り盛りする。3代目だった夫が12年前に亡くなった後も、手間を惜しまず創業当時から変わらぬ作り方で、ダシの味を守ってきた。カツオ、メジカ、サバを使い、最後に花カツオで風味を出す。「誰でも安心して味わってもらえる」と自信を見せる。客はなじみが多く、「みんな『いつもの』ばかりだから、お品書きは雑誌の下にある」と笑う。吉岡さんも「カツとじ定食」が「いつもの」だ。衣に薄切りのロース肉が包まれ、甘く卵でとじられている。
 「あと10年で創業100年。それまで続けられるといいけど」と福原さん。その笑顔と味を、10年後も変わらず楽しみたいと願う人は多い。(礒野健一)
【丸福】池田市新町8-7▽072-751-3759▽11時~15時、17時~20時半▽日曜定休

更新日時 2013/12/12


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