身近な法律相談⑦ 事実婚と同棲はどう違う?
婚姻届を出さないまま事実上の夫婦として暮らしてきたパートナーにもしものことがあったら…という相談を受けることがあります。事実婚であっても遺族年金を受給することはできます。しかし、事実婚では相続することはできません。不動産や預貯金等、パートナーの財産を引き継ぐためには、遺言書を作成してもらうことが必要です。相続のために婚姻届を出すのも一案ですが、パートナーに他の法定相続人がいると分け方でもめることもありますので、遺言書で分け方を決めておく方が安心です。
事実婚を解消する際には、法律婚と同様、財産分与や慰謝料、年金分割も請求できる場合があり、家庭裁判所に調停を申立てることもできます。
事実婚と単なる同棲(せい)との違いは、お互いに夫婦であるとの認識を持って夫婦同様の共同生活をしているかどうかです。住民票が同じとか、生活費を出し合っている(または一方が養っている)とか、友人や親戚の集まりに夫婦として出席しているなどの事情を考慮し、事案ごとに判断されます。【千里中央法律事務所 宮下幾久子弁護士】
=地域密着新聞「マチゴト豊中・池田」第51号(2013年5月9日)
更新日時 2013/05/19