身近な法律相談④ 熟年離婚と老後の生活設計
子どもは独立、夫は定年間近、これから夫婦2人の生活になろうというとき、離婚を考える方がおられます。
離婚すれば夫とは他人になるのですから、離婚後も夫から生活費をもらい続けることはできません。年金分割といって、夫がもらうはずだった年金の1部をもらうこともできますが、分割されるのは厚生年金や共済年金で、国民年金は分割されません。夫がもらう年金額の半分をそのままもらう制度ではないので、期待しすぎないようにしましょう。また、家族で住んでいた戸建てに1人で住み続けると家賃はいりませんが、固定資産税や水道光熱費等維持費の負担が意外に重くのしかかってきます。
夫に不貞行為がある場合には、慰謝料を請求できますし、財産分与で妻の取り分を多くすることもありますが、熟年離婚は老後の生活設計を一変させるので、離婚後の生活をしっかりシミュレーションしておくことが大切です。毎月必要な支出、年単位で必要となる支出を具体的に数字をあげて書き出し、確実に入ってくる収入でまかなえるのかどうか、収支計算をしてみてください。【千里中央法律事務所 宮下幾久子弁護士】
=地域密着新聞「マチゴト豊中・池田」第48号(2013年2月14日)
更新日時 2013/01/25