このエントリーをはてなブックマークに追加

早期発見が最大の予防 上田病院、岡部聡寛院長

群馬大学医学部卒。東京女子医科大学東医療センター外科、新潟県立がんセンター外科、東京都立府中病院救命救急センター、大阪大学医学部乳腺内分泌外科を経て、2009年4月から医療法人善正会上田病院長

◆増加傾向続く乳がん 検診受診率は低迷

 乳がんは女性がかかるがんの中で最も多く、20人に1人の割合とされる。毎年4万人超が新たにかかっていたが、2007年には5万6000人に増えた。国はすべてのがん検診で受診率50%を目指しているが、2010年の乳がん検診受診率(国立がん研究センターがん対策情報センター)は全国平均が24・3%で、大阪府は20・1%、豊中市では16・2%にとどまる。
 豊中市庄内幸町4、医療法人善正会上田病院の岡部聡寛院長は乳腺専門医。「早期発見が最大の予防。まずは検診を」と呼び掛ける。「乳がんは女性にとって心身ともに負担の重い病気。早く見つければ、手術も小さくできるし、抗がん剤も減らせる」と検診の重要性を訴える。
 上田病院は2年ほど前に豊中市の乳がん検診指定施設になった。岡部院長は「自分でチェックしてみて、しこりがあると分かっていても、怖くて病院に行けない人も多い。地域の人が気軽に検診を受けられる病院にしたかった」と語る。

◆早期発見だからこそ選択肢も

 検診を受けていれば、と悔やまれるケースも多々あるという。乳房が変形していたり、臭いを発していたり、しこりがカリフラワーのように盛り上がってしまった後で、来院した患者もいた。「自分でしこりがあると分かった場合でも、少なくとも数年前から体にがんはある。検診で見つけていれば、医者も患者も治療の選択肢が増える。しかも、豊中市には国公立病院と私立病院が連携した医療体制も整っている」と語る。
 岡部院長は小学生のころから地域住民の健康を支える家庭医になりたかったという。「総合診療ができて、自分の専門分野もじっくり診療する。状況に応じて専門医を紹介する。それが理想の医者像」だと話し、「医者は偉いわけではない。専門職のひとつに過ぎない」と謙虚な姿勢は崩さない。「痛いという人が目の前にいれば、それを治す力のある者がなんとかしたい。その思いだけ」と毎日、患者と向き合っている。
 岡部院長は1月13日、乳がんや患者数が急増している大腸がんについて市民講座を開く。自己検診の方法や、がんの進行による手術方法の違いなどを分かりやすく解説する。(進藤郁美)

【乳がん・大腸がん市民講座 参加者募集中】
・開催日=2013年1月13日(日)10時30分~11時30分(受け付けは10時から)
・場所=豊中市・中央公民館4階、第1学習室(豊中市曽根東町3-7-3)
・定員=20人
・参加費=無料
・申し込み=マチゴト編集部へファックス(06-6346-8256)かメール(info-toyonakaikeda@machigoto.jp)へ、参加者の名前と連絡先を明記して申し込む
・締め切り=2013年1月7日(月)

更新日時 2012/12/12


関連地図情報

関連リンク