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身近な生き物たち⑫ この冬は鳥たちが少なかった?

 「いつもより鳥が少ない気がする」。この連載のための取材をしていく過程で、この冬に何度か聞いた言葉だ。長年にわたって北摂地域の自然や動物を観察してきた人たちの言葉だけに、気のせいでは片付けられない重みがあるが、実際はどうだったのだろう。
 1月21日、とよなか市民環境会議アジェンダ21自然部会が、2004年以来8年ぶりに市内の水鳥の個体調査を行った。市域を9区画に分け、池40カ所と河川8カ所を、午前9時から正午にかけて調査をした。その結果、ハシビロガモやキンクロハジロ、ヒドリガモなどの観察数が半分以下となる一方で、カルガモは2.5倍、ホシハジロは1.3倍と増加していた。観察総数を見ると、2004年が22種809羽だったのに対し、今回は22種606羽と減少した。
 自然部会は総数減少の理由を、「宅地開発の影響で、いくつかの池は周囲の樹木や池の中のアシが減り、鳥が隠れる場所が無くなったためではないか」と分析。「今年になって特に減ったわけではないのではないか」と話す。個体数が増えているカルガモについては、「渡りをせず豊中に留まっており、かなり汚れた河川でも繁殖できることが要因」としている。
 池田・人と自然の会は冬の野鳥(陸鳥)の個体数を調査した。毎年継続調査を行っていて、2005年を100とすると、今年はルリビタキが18、シロハラが7、アオジが20など、観察数が激減した。特にシロハラは、2011年は146羽観察できたが、今年は6羽しか見られなかった。原因は不明だが、同じように観察数が激減した2006年も翌年以降は数が戻ってきているため、「来期は例年通り見られることを期待したい」と話している。
 冬鳥が減っていることを踏まえ、池田人と自然の会は、代表的な夏鳥のツバメの調査も行っており、広く市民へ協力を呼びかけている。調査の対象はツバメとコシアカツバメ(腰のあたりが赤褐色)の巣。巣のあった場所、巣の様子、巣立ったヒナの数などを調べる。ツバメの巣は椀(わん)形、コシアカツバメの巣はとっくり形をしているのが特徴。池田には3月中旬ごろに飛来し、6月ごろまでに1~2回子育てする。
 見付けた人は、池田・人と自然の会事務局へメールimajo@rmail.plala.or.jpもしくは072-761-7289へファクスか電話で報告してほしいと呼びかけている。(礒野健一)

更新日時 2012/04/09


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