災害時のライフライン④ 関西電力の対応(上)
1995年1月17日に起きた阪神大震災では、発生直後に約260万戸が停電した。しかし、1週間で全戸への応急送電が完了した。関西電力ではその時の経験などを踏まえ、どのような防災対策をとっているのだろうか。
豊中・池田地域の電力供給を統括しているのは、大阪北給電制御所(大阪市北区本庄東3)だ。ここは大阪府の北半分を管轄している。その担当面積は関西電力全体の約3%だが、販売電力量は約21%を占め、最も需要密度の高いエリアとなっている。
送電ネットワークは24時間態勢で監視され、何らかの異常が発見されると、豊中・池田エリアの場合は小曽根電力システムセンター(豊中市浜4)に指令が行き、保守・復旧作業に取りかかる。異常は地震だけでなく、台風や大雨、落雷、積雪といった気象情報にも注意を払う必要がある。停電に直結する落雷は、監視モニターに落ちた場所がリアルタイムで表示され、送電線の点検作業に生かされている。
地震への対策では、発電所や変電所、地中送電設備の耐震化が進められている。どれも強い地震動に対応しており、阪神大震災の時も目立った被害は見られなかった。しかし、東日本大震災のデータを精査し、より強い地震へも対応できる設備を目指すという。
また、耐震化と並ぶ対策として、関電は送電などの多重化を挙げている。これは大規模災害によって設備が破損、送電停止となった場合、別ルートでそれを補う構造だ。例えば通常時の豊中へは、能勢変電所(能勢町)から送電されているが、そこがダウンしても猪名川変電所(兵庫県猪名川町)を通るルートで供給される。また、変電所の変圧器や配電線も、必ず複数設置されている。(礒野健一)
=地域密着新聞「マチゴト豊中・池田」25号(2011年7月7日)
更新日時 2011/07/07