災害時のライフライン⑩ 通信設備・NTT西日本
大規模災害の被災地に住む人との安否確認手段として定着しつつある災害用伝言ダイヤル「171」は、阪神大震災をきっかけに開発された。ピークに通常の約50倍の通話量となり、交換機がパンクする事態となったからだ。震度6以上の地震を一定の基準として、集中豪雨や台風など、大きな自然災害時に設置され、東日本大震災では録音約58万コール、再生約280万コールが利用されている。「171」は毎月1日と15日のほか、年に何度か体験利用することができるので、いざという時のために豊中、池田市民も1度試してみてはどうだろうか。
阪神大震災では通信ケーブルの切断や交換機バッテリーの倒壊などの被害を受けたので、ハード面の耐震性も整備した。東日本大震災後には、津波、原発事故、大規模停電を想定に含めた対策を講じているところだという。
9月3日に上陸した台風12号は、近畿地方南部を中心に通信設備にも大きな被害をもたらした。大規模な土砂崩れで陸の孤島となった奈良県十津川村へは、技師が衛星電話とともに自衛隊のヘリコプターに乗り込み、緊急通信手段の確保に向かった。
通信ケーブル損傷のため通信遮断が発生した和歌山県新宮市、古座川町では、ポータブル衛星通信機の搭載車が出動し、市役所や小学校などに特設公衆電話が設置された。搭載車はNTT西日本管内で58台、うち大阪府内には3台が用意されており、こうした緊急時には近隣府県からも出動し、住民の通信手段確保を担っている。
NTT西日本災害対策室の西原満さんは「台風による被害は毎年一定数起きると想定し、対策は万全を心がけている。沖縄の離島も管内にあり、台風が接近しそうになると、船が欠航する前に予め技師を離島に入れ、被害に迅速に対応するようにしている」と話した。(礒野健一)
=地域密着新聞「マチゴト豊中・池田」31号(2011年10月6日)
更新日時 2011/10/05