災害時のライフライン⑧ 土石流対策に力を入れる池田土木事務所
9月2日から4日にかけて近畿地方を襲った台風12号で、大阪府池田土木事務所は緊急時に備えて24時間の警戒態勢を取った。池田土木は豊中市と池田市、箕面市、能勢町、豊能町の道路や河川の整備、維持管理をする。幸い管内では、12号による土砂崩れや河川の決壊など大きな被害はなかったが、それは力を入れている砂防事業によるところもある。
砂防事業は、土石流の発生が予測される谷間に、土砂を止めるダム「砂防えん堤」を築く事業が中心。下流の街を直接的に守るタイプと、下流の川に土石流が流れ込むことで川底が上がり、河川の決壊を誘発することを防ぐタイプがあるが、現在は前者のえん堤の築造が多いという。管内には304カ所の土石流危険渓流があり、107カ所に砂防えん堤が設置されている。池田市には五月山周辺に35カ所の危険渓流があり、えん堤の設置は21カ所。豊中市には危険渓流がない。
また、管内には27カ所の雨量観測局があり、土砂災害の警戒や避難活動に役立てている。危険渓流のない豊中市でも、千里川の春日橋(千里園3)に河川テレメータが設置され、水位のデータを送信している。
9月1日には能勢町山辺の元の国道173号を使った合同防災訓練が行われた。全国ロードサービス協会など民間団体も参加し、横転したトラックの移動や、倒木の除去などを訓練した。池田土木の芝池利尚所長は「官民一体となって訓練をすれば、緊急時に迅速な復旧作業が可能になる」と力を込めた。(礒野健一)
=地域密着新聞「マチゴト豊中・池田」29号(2011年9月8日)
更新日時 2011/09/08