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編集長のズボラ料理(681) キクラゲとエノキダケのポン酢

サラダ菜は彩りの意味もあり、別の葉野菜でもいい

 神奈川県に住んでいる弟の家に泊まった時のことだった。家での夕食の際、弟はニコニコしながら、振りかけを出してきた。見ると、錦松梅ではないか。いただきものだという
 おやじが好きだった。今回は袋入りだが、親父のは綺麗な陶器の器に入っていた。自分で買ったものではない。これもまた、いただものだった。いつも同じ容器だったから、同じ人からお中元かお歳暮に毎年もらっていたのかもしれない。
 おやじは商業学校を出てすぐに就職したような人生で、つつましい生活だったから、グルメではなかった。自宅でビールを飲む時は、小イワシを焼いて、大根おろししょうゆを付けて、つまみにしていた。だから、錦松梅の味ではなく、陶器の容器のちょっと高価な感じが好きだったに違いない。そんな思い出話をしながら、弟とビールを飲んだ。
 何十年ぶりの錦松梅だったので、袋の原材料欄を見た。カツオ節をベースにして、コンブ、キクラゲ、松の実、シイタケなどが入っていた。振りかけにキクラゲ、これは意外性があった。キクラゲは中華のイメージが強いからだ。
 中華でも、意外性を感じたことはある。奈良県生駒市で、町中華の店「花とも」で本日のランチを食べたことがある。メーンはマーボー豆腐。これにグリ-ンピースとキクラゲが入っていた。初めての味。
 さらに意外だったのは、甘い味つけだったこと。四川料理などお構いなし。子どもでも食べられるように、の狙いかもしれないが、こっちは四捨五入すると80歳である。
 もっと意外なことがあった。店の老夫婦(?)が人なつっこいこと。僕は花の苗をビニール袋に入れて持っていた。奥さんは「どこで買ったの?」と、初対面の僕に話しかけてきた。まさに「花とも」。
 帰りに自分たちが参加する小さなイベントのちらしを渡してくれて、「ぜひ来てください」。わざわざ電車の乗って行く催しではないと思ったが、素直にちらし受け取った。
 すべてが町中華の真髄だった。店には金魚鉢が置いてあったが、これもまた意外性を伴うが、町中華らしくも感じた。
 あるイベントで、「明日香きくらげ」という乾燥キクラゲを買った。水で戻した後、ゆでて柔らかくする。それを細長く切る。エノキダケもさっとゆでる。サラダ菜を細く切って、3つを混ぜてポン酢をかける。
 これは意外性がある料理ではない。キクラゲは酢の物にも使われる。意外だったのは、明日香きくらげを作っているのは、奈良県五條市の会社だった。「なーんだ、明日香村ではないのか」と思ったが、会社名はアスカグリーファームで、どんでん返しの意外性があった。(梶川伸)2023.08.20

更新日時 2023/08/20


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