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編集長のズボラ料理(622) 練りウニのトースト

僕はワサビも練りウニも多めにする

 遍路仲間の1人が札幌にいる。大阪にも部屋を借りていて、北海道と大阪の間を行ったり来たりする。大阪で仲間が会うと、いつも言うことが決まっていた。「そろそろ、札幌の家を引き払おうと思うので、今年こそ遊びに来て」
 これは時候のあいさつのようなものだから、「そのうち行くわ」と言いながら、何年も過ぎた。「そのうち」はこれも決まり文句のようなもので、たいていは「行かない」のである。ところが……。」
 札幌のメンバーが大阪に滞在中。みんなで兵庫県姫路市に1泊で出かけた。姫路駅の近くを歩いてんいると、旅行会社HISの営業所があり、また北海道の話が出て、北海道のプランのチラシを数枚とった。これも本気度ゼロの行動だった。
 その日の宿で酒を飲み、雲行きが変わった。酒の勢いで、1度行かないとね→行こうか→行こう→行くなら今年。アッという間に北海道行きが決まり、翌日またHISに行き、1カ月後のスタートで3泊4日の旅を申し込んでしまった。旅行代金は1人がATMで現金をおろして立て替え払いをするドタバタだった。すべては酒の力。
 北海道では、4日間、食べたり飲んだり、飲んだり食べたり。ウニも食べたいと思ったが、札幌の仲間が「食べるならバフンウニ」と言い切る。僕はどうせ味の違いなどわからないから、ムラサキウニでもいいし、いざとなれば瓶詰めのウニでも構わな方だが、グルメの仲間が「やっぱりバフンウニ」と言う。
 ところがバフンウニは高い。単品で頼むには、かなりの勇気がいる。朝ご飯に市場で海鮮丼を食べたが、バフンウニ付きにランクアップするのが精一杯。その決断には、30秒をかかけるほどだった、1780円が2480円に跳ね上がからだ。丼が運ばれてくると、乗っている、乗っている、バフンウニが。2腹だけ。
 この時点で、あるプランはあきらめた。娘夫婦にウニを送ろう思ったが、スッパリとやめめた。そこで、娘の好物のボタンエビに方針変更。送料ともで6500円ほど払うと、店の人がすまなそうに言った。「中国からの買いが猛烈で、ここ数年で値段が倍ほどになった」
 帰宅後、娘から一応お礼のメールがあった。それには、いやみな一言があった。「11尾ありがとう」。北海道は考え物だ。ウニもエビも高すぎる。
 だから瓶詰の練りウニを使う。パンにワサビを塗る。その上に練りウニを塗る。とろけるチーズを乗せ、少量のしょうゆをたらし、トースターで焼く。
 これなら怖くない。ガバガバ食べても、バフンウニつきの700円アップより、瓶詰め1つの方が安い。(梶川伸)2022.09.21

更新日時 2022/09/21


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