寺の花ものがたり(282) 石光寺(奈良県葛城市)万両=12月上旬~2月上旬
石光寺は小さな寺だが、四季それぞれの花を見ることができる。「寺の花ものがたり」でこれまでもいくつかを紹介した。今回は花ではなく、万両の実。
千両・万両と合わせて言われることが多く、両方を植えている寺も多い。石光寺は万両が目立つ。
高さは50センチほど。赤い小さな球形の実は、艶々している。濃い緑の葉も艶があるので、鮮やかな組み合わせといえる。地面は彼枯れた落ち葉に敷き詰めれていても、万両は色を誇っている。
20個ほどの実が1房についている。多いものになると、10房もある。千両は実が上向きだが、万両は下向きなので、たわわに実っているような重さを感じる。
この寺の冬の代表は寒牡丹(ぼたん)。ほかに山茶花(さざんか)、寒咲き菖蒲(あやめ)。春に向かい始めると、蝋梅(ろうばい)、三椏(みつまた)。その期間の脇役として、万両は小さな灯を添える。
◇石光寺(せっこうじ)◇
奈良県葛城市染野387。0745-46-2031。近鉄二上神社口から徒歩20分。天智天皇の時、この地に光を放つ三大石があり、掘ると弥勒(みろく)三尊の石造が現れて、堂宇を建立したと伝えられる。本尊は阿弥陀如来。中将姫伝説ゆかりの寺。関西花の寺霊場第二十番。入山有料。
(梶川伸)=状況が変わっている可能性もありますので、ご了承ください。2021.12.01
更新日時 2021/12/01