心にしみる一言(342) 写真の邪魔だから、早く行って
◇一言◇
写真の邪魔だから、早く行って
◇本文◇
「心にしみる」と言っても、今回の言葉は、嫌な思いとして、心の残っている。紅葉の時期になると、思い出してしまう。
紅葉を楽しむバスツアーの案内人で2005年、滋賀県の琵琶湖の東に位置する寺を3つ訪ねた。あまり知られていない寺ばかり選び、まずは桑実寺。次は教林寺。今は人気の寺になったが、その時は公開が始まって2年目だったので、ここをツアーのメーンにした。
最後に行ったのは東光寺。ここはマイナーな寺なので、参加者の中で知っている人はいないだろうと考え、ツアーの“隠し玉”にしていた。だから、私たちだけで寺の紅葉を独占できると確信していた。
バスを降りて、20分程歩いて山門に着く。そこでビックリした。十数人が来ているではないか。カメラ愛好家のグループのようだった。知っている人は知っているのだ。
向こうも寺に着いて間もなかったのだろう。みんな山門に向かってカメラを構えている。そこに私たちが着いた。坂を登ってきたので少し休憩しながら、ゆっくり山門をくぐり、まず本堂へ向かおうとした。そこで、取り上げた言葉飛んできた。
寺の紅葉はちょうど良い時期だった。それだけに、かけらた言葉に、身勝手さを感じた。お互いに、紅葉を楽しみに来たのではないのだろうか、と。(梶川伸)2021.10.24
更新日時 2021/10/24