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◇一言◇ 自分が埋めてもらう場所は、自分で掘っておくのだろうか ◇本文◇ 瀬戸内海の島には、ひかれるものがある。それは、時たま訪れる者の勝手な思いに...
◇一言◇ 先生が島を去る時は、テープで別れを惜しみます ◇本文◇ 船出の時にテープを投げて別れを惜しむ。そんな情緒は、とうの昔になくなったと思っ...
◇一言◇ 地蔵は弥勒菩薩(みろくぼさつ)のもとに修行に旅立った ◇本文◇ この文には先がある。「お告げによると、56億7000万年かかる。そこで...
◇一言◇ 海の底には昔のつけがたくさん残っている ◇本文◇ 1996年夏、瀬戸内海の伊吹島に渡った。イリコで有名な島。海岸沿いの作業所で、「最盛期...
「お母さん、きれいになったね」。娘に言われて、女はドキッとした。60歳を過ぎての恋を、感づかれた気がして。 夫は急死した。洗濯の最中、少しグッタリしている...
◇一言 父は戦闘帽の布を破って、10円札をくれた ◇本文 中野豊さん中国東北部で終戦を迎えた。19歳だった。父は直前に召集され、行方知れずだった。...
◇一言 長女にお乳を含ませ、胸に力一杯抱きしめました ◇本文 優しい言葉の裏側に、想像を絶するような戦争のむごさがある。抱きしめられた長女は、やがて...
道具箱には、折りたたみ式ナイフの肥後守(ひごのかみ)が眠っている。30年にもなり、刃にはさびが浮いてきたが、男は捨てられない。 男は苦労人だった。2歳で母...
◇一言 虚(むな)しく往(ゆ)いて満ちて帰る ◇本文 四国八十八カ所の遍路道は1400㌔もある。得意でもない自転車での巡拝を決めた時、不安でならな...
◇一言 夕日は1日の思い出を一杯詰め、重くて重くて沈んでいく ◇本文 親子で手をつなぎ、夕日を見る時間を作ろう。そう提唱している二木賢治さんが言っ...