押しつけ花物語
春は花の色があふれ、心が弾む。畑を見れば、菜の花の黄色が、快活に春を喜んでいる。少しが緑が入った明るい黄色で、畑一面を埋めれば、これにかなう春はない。 ま...
岩手県盛岡市に行く機会があった。街の中心部、中津川のほとりに、「深沢紅子(こうこ)野の花美術館」がある。紅子は水彩で、野の花を描き続けた。小さな3階建ての建物...
わが家の周りで、1番先に春を告げる野の花はオオイヌノフグリである。地をはうように広がって、小さな花を見せる。 繊細な花だと思う。例えば春の盛りでも、朝の早...
花の少ない冬に、サザンカは存在感を示す。赤い色が多いので、なおさら目立つ。 1本の木に咲く数も多く、生け垣にも使われる。そうすると、葉の緑と花の赤が入り混...
冬は色がない。花が少ないからだ。 色のない冬に、ナンテンは存在感を示す。赤い実と、赤くなった葉と。花ではないのが、少し残念だが。 ナンテンの葉は、きれ...
花かごの中に、3本のイヌタデが立っている。赤い小さな粒がたくさんついているのがそうだ。 イヌタデと呼ぶと、どうも印象がよくない。イヌも、タデも野の花の可愛...
都会と田舎の境目のような地区に住んでいるので、夏から秋にかけてマルバルコウソウを見かける。ラッパ状で、赤みがかったオレンジ色の花をたくさんつける。 小さい...
かわいそうな名前を持った植物が、けっこうたくさんある。悪茄子(ワルナスビ)もその最たるものの1つだろう。 花はナスの花に似ている。では、なぜ悪いのか。それ...
ちょっとした空き地をのぞくと、必ずハルジョオンがいる。強くてはびこる植物ではあるが、白くて細い花びらが放射状に開いていている様は、仏像の光背の1つ、放射光を連...
キンミズヒキをもらって5年になる。小さな花壇に植えていて、毎年夏の終わりから秋の初めにかけて、釣りざおのような茎に、小さな黄色い花を咲かせる。何も手入れをして...