押しつけ花物語(14) 探すと見つかりにくいミゾソバ
岩手県盛岡市に行く機会があった。街の中心部、中津川のほとりに、「深沢紅子(こうこ)野の花美術館」がある。紅子は水彩で、野の花を描き続けた。小さな3階建ての建物に入ると、最初に目に飛び込んだのは、ミゾソバの絵だった。
受け付けの横に、紅子の言葉と絵を収めた本「野の花によせて」が置いてあり、表紙を飾っていたのがミゾソバだった。湿気のある溝のそばなどに咲く。ソバのような粒粒した小さな花。赤い色で描いていた。
目立たない花だが、紅子は「私が描かなければ、誰が描くの」の思いがあったに違いない。よく見かけるのだが、いざ探そうとすると、結構手間がかかる花でもある。中津川の河原には、夏になると一面に咲くのだろう。
自宅に帰って、以前作った押しつけ花を探すと、ミゾソバを使っているものが見つかった。押すと色が変わるもので、こちらは青紫だった。(梶川伸)2015.02.13
更新日時 2015/02/13