押しつけ花物語(08) 悪ナスビの善意
かわいそうな名前を持った植物が、けっこうたくさんある。悪茄子(ワルナスビ)もその最たるものの1つだろう。
花はナスの花に似ている。では、なぜ悪いのか。それは地下茎ではびこり、ほかの植物をいじめるかららしい。そのうえ、毒を持ち、トゲもあるから、「最悪の外来植物」とまで呼ばれている。
ただ、僕の家のそばのこれは、それほどの悪ではない。道端で控え目に咲いていて、あまり勢力拡大の野心を感じない。悪ナスビにも善意の心があるのだ、と思うことにした。
とげに注意しながら花だけを摘み、押し花にする。花びらが白で、しべが黄色なので、背景を暗くして配置する。善意に応えて、少しでも良い印象を与えるように。(梶川伸)2014.09.19
更新日時 2014/09/19