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編集長のズボラ料理(425) キノコの和風グラタン

ホワイトソースの固さは好みだが、やや柔らかめの方がキノコが引き立つ

 僕たち段階の世代にとって、マッシュルームはなじみが深い。それはビートルズのマッシュルームカットによる。
 僕が通った高校は、体育祭の時に各クラスで大きな応援看板を作った。僕らのクラスは僕の提案で、ビートルズの絵にした。
 体育祭の前日、クラスのうれしがりが集まった。ベニヤ板を接合して大きなキャンバスを作り、そこにビートルズ4人の演奏姿を絵具で描いた。もちろん、4人はマッシュルームカットである。マッシュルームなど、食べたこともなかったのに。その際、大きな決断をした。安上がりにするため、泥絵具を使ったのだ。
 さて当日。天気が今一つ。応援にかこつけて「She loves you」やら「All my loving」を歌いまくっていたら、雨が降ってきた。
 決断は大失敗。泥絵具だから雨で流れていく。マッシュルームはロングヘア―になり、顔や体は崩れ、ギターの形もなくなった。
 僕の髪は泥絵の具で書いたものではなかったが、やがてマッシュルームからロングヘアに変わっていった。良い点は。髪が長くなれば自分で切ればいいことだった。毎日新聞入社直前の1970年3月末に散髪屋さんに行って以来、これまで1度も行っていない。
 というわけで、苦しいこじつけではあるが、キノコのマッシュルームに話を移す。2年前にスイスに住んでいる日本人の友人を訪ねた時は、彼の家でラクレットというマッシュルーム料理ごちそうになり、マッシュルームは好きから大好きにランクアップした。
 日本に帰ってすぐ、デパートでラクレット用チーズを買い求めたが、置いていなかった。近く入ることを聞き、再度出向いた。結構高かったが、散髪代が長年いらなかったことを思い出し、買って帰って疑似ラクレット作り、食べまくった。
 マッシュルーム、シメジ、マイタケなど、キノコを3、4種類用意する。マッシュルームは薄切り、他は食べやすい大きさに切る。鍋に少なめに水を入れ、白菜の茎の部分を5枚ほどをゆでハクサイだしを作る。
 フライパンにバターを入れて弱火で溶かし、キノコを炒める。しんなしてきたら、小麦粉を加えてよくかき混ぜ、今度は牛乳、ハクサイだしで伸ばし、白だしも少し加えてキノコのホワイトソースを作る。それを容器に入れ、上にとろけるチーズを乗せて、オーブンで焼く。
 キノコは好きなものを使えばいい。ただし、マッシュルームは欠かせない。そう書かないと、この文章の長い前段の意味がなくなる。(梶川伸)2020.08.02

更新日時 2020/08/02


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