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編集長のズボラ料理(396) オイスターソースの卵焼き

砂糖は多めの方がいい

 弁当の主役は卵焼きだろう。
 いや、焼き塩サケだ、という人もいるかもしれない。しかし、値段が違う。
 サケは思いのほか高い。高い方が主役ではないか、という人が言うかもしれないが、それは食べる側の論理で、作る側からすると、サケをドバドバ使うわけにはいかないのだ。だから、安い卵に軍配を上げる。
 サケは高いから、弁当に詰める時には薄い切り身を使うか、厚い切り身の半分を使うか決断を迫られる。時には、サケではなくマスでごまかし、後ろめたさ感じることもある。
 旅館に泊まった時の朝ご飯でさえマスのこともあるから、後悔の念は大きくない。朝食バイキングだと、薄くて小さいことが多いので、周りの人の目を気にしながら、2切れ取ることになるので、はストレスの会場になる恐れがある。それに比べれば、弁当の迷いんど大したことはない。
 弁当の場合、ちゃんとした焼き塩サケならドドーンと白飯の上に乗せて赤身を目立たせる。そうでなければ、ほかのおかずにまぎれ込ますのが常套手段である。
 その点、卵は安いから使うのにためらいはない。家庭の食事で、困れば卵の登場となる。そのために、冷蔵庫の中で常に10個が出番を待っている。
 困った時の簡単卵料理に、御三家がある。ゆで卵、目玉焼き、卵焼きである。その中の4番バッターは卵焼きだろう。「卵」「焼き」とシンプルな名前からいっても、異論を唱える人はいないのではないか。
 高松市の友人が仲間を連れて、京都で紅葉狩りを計画し、頼まれて案内役をしたことがある。年輩の女性がほとんどだったので、妙心寺の塔頭(たっちゅう)、退蔵院に案内した。阿じろの簡単な精進料理つきで、そこそこの値段がしたが、僕はおごってもらったので、ぼろもうけの紅葉狩り。案内はするものだ。
 時間があまったので、行きたい場所を聞くと、何人かが錦市場という。なぜか?三木鶏卵のだし巻きを土産にしたのだ。錦秋の京都にふさわしいダジャレ土産ではないか。卵焼きはそれほどの力を持っている。ちなみに、阿闍梨餅(あじゃりもち)を土産にしたいという人もいて、京都駅のビルで買った。
 卵焼きは個人の趣味で、好き勝手に作るができる。今回はシンプルな一品。卵2つをボールに割り入れる、刻みネギと砂糖、オイスターソースを少し加えて、卵焼き用のフライパンで焼く。家の卵焼きでも、少しあやをつければ、綾錦の京都に負けないと、ダジャレを言いなが食べることができる。(梶川伸)2020.02.19
 

更新日時 2020/02/19


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