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心にしみる一言(217) 体の健康だけでなくて、心の健康をつくっていかないと、人間は前向きに生きていけないと痛切に感じた。

2019年の震災記念日に神戸市で撮影

◇一言◇
 体の健康だけでなくて、心の健康をつくっていかないと、人間は前向きに生きていけないと痛切に感じた。

◇本文◇
 阪神大震災から7年後、貝原俊民・兵庫県知事にインタビューしたことがある。私が兵庫県を担当していた時は、副知事から知事になるころだった。
 7年後といえば復興が進んでいる時期だと思っていたが、貝原さんの捉え方は違っていた。発生直後に専門家から聞いた言葉を取り上げた分析が耳に残っている。
 「大きな自然災害が発生した時、まず被災地は被災者自体が心理的に高揚しているので、思いもかけない力を発揮する英雄期というのがある。やがて多くの支援、救援の手が差し伸べられて、心が温まるハネムーン期というのが第2期。しかし時間の経過とともに薄れ、しかも復旧、復興が思うようにいかないことから、幻滅期というのがくる。幻滅期を乗り越えて、被災者が前向きに動き出した時に、初めて再建期となる」
 そう話した上で、「まさに今は、幻滅期にあるんじゃないかと思う。被災者は被災の後遺症に悩みながら生活している」と語った。
 貝原さんは復興に携わる過程で、「ヒューマンケア」という理念を打ち出していた。「私たちが見たのは、高齢化した社会、成熟した社会における生き方は何なのか、ということだった。そう語った跡で、取り上げた言葉が続いた。
 さらに続けた。「ある人から聞いたが、ヨーロッパが第2次大戦後、虚脱状態になった時に、生きる意欲をかきたてたのは、ピカソの絵だとか、カザルスの音楽だとか、ヘミングウェイの小説だった。芸術が人間に感動を与える」(梶川伸)2020.01.15

更新日時 2020/01/15


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