心にしみる一言(193) 祇園祭りや天神祭りの時に、京都や大阪で食べるハモは1年もので、重さは500~600グラム。ハモすきに使うのは3年ほどたったもので、1.2キロはあり、こくが深い。
◇一言◇
祇園祭りや天神祭りの時に、京都や大阪で食べるハモは1年もので、重さは500~600グラム。ハモすきに使うのは3年ほどたったもので、1.2キロはあり、こくが深い。
◇本文◇
食べ物の取材は楽しい。兵庫県・淡路島の沖の沼島のハモすき(ハモのすき焼き)の時は、特に楽しかった。
1泊のゆっくりした取材で、木村屋旅館に連絡を取り、お願いしておいた。淡路島・土生(はぶ)港から小さな客船に揺られ、15分で島に着いた。
ハモ漁の島を取材した後、宿に入った。すると主が言った。「台風が接近しているので、予約がすべてキャンセルになった」
泊ったのはたった1人。そのため、主人がハモをさばくところからじっくりと見せてもらえた。水槽から生きたハモを取り出す時、説明してくれたのが上記の言葉だった。
頭を刺して止め、まず3枚におろす。次にハモ特有の骨切り。「皮と身の間に骨がある。1寸(3.センチ)を24に切るのが基本」と話が続く。大きな包丁を小刻みに動かし、皮1枚を残して見事に切っていく。多い日には、1日に30本もさばくというが、その日は1本だけ。
ハモすきは、説明を受けながら、はしを進めるぜいたくさ。鍋のわりしたを温め、ハモの頭と骨の部分を入れてだしを取る。淡路島産の玉ネギも加え、甘さを出す。ハモの身を1枚ずつ入れる。皮を下にすると皮が縮まり、骨切りをして薄くなっている身は花びらが開くように広がっていく。透明な身は、雪のような白さに変わっていく。
「ハモは梅雨の水を飲んでうまくなる。いまが旬」。7月の天神祭の宵宮の日、ハモを1人占めした夜だった。(梶川伸)2019.05.25
更新日時 2019/05/25