編集長のズボラ料理(333) チーズの生ゆば巻き天ぷら
生ゆばを思いっきり食べたい。でも、なかなか食べられない。。
生つばが出るほどではないが、バクバク食べたくなる。その理由の1つは、値段にあるのではないか。豆腐の親類のようなものだが、豆腐は安いのに、生ゆばは高い。だからだろう、店でもわずかしか出てこない。生ゆばは欲求不満の素を含んでいる。
例えば仲間で豆腐料理の店「梅の花」に行き、昼ご飯を食べる。梅の花を選ぶのは、メンバーの中の女性に決まっている。いつもはワイワイ、ワーワー言っているが、個室の通されると、なぜかトーンを落として話し、上品に食べる。なぜか。
セットなら、引き上げゆばがついてくる。その場で豆乳を熱し、表面に張ったゆばのシートの下にはしを通して、引上げて食べる。ワーワー言っていたら、ゆばを落としたり、破れたりする。だから、息を止め、精神統一しなければならないので、しゃべってなどいられない。
ゆばシートは薄い。1枚は1ミリあるかどうか。1枚食べては次のゆばができるまで待ち、次々と引き上げる。とは言っても、3枚でも3ミリ。5枚なら5ミリだが、1枚は失敗するので、せいぜい4.5ミリ止まりとみていい。それ以上は、精神統一が続かないのと、面倒くさいので続かない。豆乳側もゆば成分がなくなってくるし。
もし高い技術力を持ち、5枚を食べたとしても、5ミリでは、どうにもならないではないか。バクバク食べたいのだ。
そこで京都へ行く。しかし、生ゆばや生ふの店は、何だか高そうで入りにくい。そこで、清水寺に行く二年坂から少し入った店「エンドウ」を選ぶ。そこで、ゆばと生ふの丼を頼む。
天丼、カツ丼のようなどんぶりご飯ではない。ゆばと生ふと葉野菜をたいて、とろみをつけたものがメーン料理で、それが丼にドーンと入っている。ご飯は別で、丼の中身をどんどんかき込みながら、ご飯を食べる。欲求不満にはならないのは、この店くらいである。
しかし、何度も清水寺に行っていられない。そこで、家で食べる。生ゆばを買ってくる。適当な大きさに切ってとろけるチーズを大葉でくるみ、それを生ゆばにはさんで2つ折りにする。ミツバかセリを軽くゆでて紐代わりにし、生ゆばが開かないように結ぶ。天ぷらの衣をつけて揚げる。
これならバクバク食べられると思った。しかし、生ゆば自体が豆腐のように安くはないので、たくさん買うのをためらってしまった。でき上がりは京都料理のように上品さ。味ではなく、量のことだが。(梶川伸)2019.02.16
更新日時 2019/02/16