このエントリーをはてなブックマークに追加

編集長のズボラ料理(311) 竹輪の素揚げ・キュウリの漬け物ヨーグルトソース

シシトウの揚げたものもつけてみた

 おやじ、おふくろは広島出身だった。両方とも亡くなったから、過去形である。
 広島はカキの産地で、親の血をひいているのか、僕は子どものころからカキが好きで、おふくろがよくカキフライを作ってくれた。幼いころはソースをかけて食べていたが、いつのころからかタルタルソースに変わり、「洋食だ」と心の中で声をあげながら、ちょっと気取って食べた。
 おふくろのタルタルソースは、ゆで卵の白身を細かく切って、マヨネーズに混ぜたものだった。だから、タルタルとは卵の白身とマヨネーズのことだと信じて疑わなかった。
 社会に出てみると、我が家は世間の常識からかけ離れているのを知る。タルタルにはキュウリのピクルスが入っているではないか。そんなもの、我が家にはない。ハンバーガーを買った時に、挟んであるんを食べるくらいのもの。
 その代わり、卵の白身は必要十分条件ではないらしい。そういえば、卵の黄身はどこに行ったのか、いつも不思議に思っていた。今から思えば、おふくろがゆで卵の黄身をつまみ食いして、その犯行を隠すために白身を似た色のマヨネーズに隠したのではないか。そんな疑惑も浮上してくる。船越英一郎か沢口靖子に捜査してもらいたいほどだ。
 スイスの友人を訪ねて、1週間あまり滞在した。その間に、彼の友人の家に一緒に行き、昼食をごちそうになった。不断草のパイ包みなど、食べたことのない料理が出てきた。料理に添えられていたのが、タルタルソースだった。確かにキュウリのピクルスが入っている。これぞタルタルと思ったら、マヨネーズの代わりにヨーグルトが使っていた。タルタルは何か、混乱は深まるばかりだ。そこで、疑問を解明すべく、自ら作ってみることにした。
 竹輪を縦半分に切って、さらに二等分にして、ビニール袋に入れる。小麦粉に少しコーンスターチを混ぜてビニール袋に入れ、よく振って竹輪にまぶす。油で揚げて皿に盛る。
 竹輪にかけるタルタルは、スイス仕込みのヨーグルトを使う。ペーターに気分である。ただ自信がなので、マヨネーズも少し加えた。
 ピクルスの代わりは浅漬けの素で漬けたキュウリを使う。元同僚が定年後、野菜を作っていて、大量に送ってくる。キュウリも大量で、漬け物にもする。だから、キュウリも漬け物は大量にある。切りにてさらに短く切ったものを、大量に使う。我が家にピクルスがなくてよかった。これでキュウリは大分さばける。
 初めてのことをしていると不安になって、おふくろの味がチラつく。ゆで卵に白身も使ってしまえ。白コショウも少々。さて、でき上がってみると、中途半端なソース。これはタルタルなのだろうか。
 書き忘れたが、卵の黄身は小麦粉をまぶして揚げたた。そのままと、あまり違いはなかった。(梶川伸)2018.09.03

更新日時 2018/09/03


関連リンク