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編集長のズボラ料理(310) マッシュルームのチーズ焼き

焼きすぎないように注意

 東京から来た友人が吉本新喜劇を見たいと言い、なんばグランド花月に行った。
 漫才や新喜劇の人気者が出演していて、さすがに観客の笑いの壷を心得ていた。しかし、僕が1番笑ったのは、舞台上の演技ではなかった。
 夏休み中だったので、小学生や中学生の集団が来ていた。僕の左側は中学1年生くらいの女子グループ。この子たちが、キャッキャと笑い続けた。笑いの壷にはまったのだろう。芸人にとっては思う壺だ。
 こちらは骨壺には入りかけているが、笑いの壷には入らない。しかし、左側からの笑い声が実に明るいので、つられて笑った。しかし、それは中学生の笑いの反射によるもので、壷の笑いではない。ところが、この夏にスイスの友人を訪ねた時は、笑いの壷にはまってしまった。
 アルプシュタインの山に車で案内してくれた。駐車場に車を止め、ロープウェイで上り、歩いて30分ほどの山小屋レストランでジャガイモ料理「レシュティ」を食べて、またロープウェイで下りた。
 駐車場で友人の彼はあわてた。車のキーがない。ロープウェイの上の駅でトイレに行き、ズボンを脱いだ時にキーを落としたかもしれないという。「運が悪い」などと笑っていられない。
 しかし、キーの状況を聞いて、笑いの壷に落ちた。彼の住んでいる市では犬を散歩させる時に、ふんを市が指定したビニール袋に入れなければならない。その袋を持ち歩いているので、キーはその袋に入れたのだという。何で、ふん袋にキー。しかもそれを、トイレで落とす? できすぎている。
 笑えてならないが、事は深刻。彼はもう1度、ロープウェイで上へ行き、トイレを探した。しかし見つからないので、係の人に事情を話して、ふん袋を見なかったか聞いたそうだ。係の人は、ふん袋が落ちていたので、ごみ箱に捨てたという。ごみ箱をひっくり返すと、あった。運がいい。ふん袋がキー発見のキーワードだった。見つかったから笑い話で書けることではあるが。
 彼の家で、スイス料理の代表格の1つ、ラクレットをごちそうになった。ジャガイモをゆで、チーズを溶かしてかけて食べる。チーズを溶かす器具がおもしろい。鉄板を使った2層構造になっている。小型の玉子焼き用のフライパンのようなものにチーズを入れて、熱くした鉄板の下に差し込んで溶かす。鉄板の上では、いろいろなものが焼ける。彼はマッシュルームを焼いてくれた。今回はその亜流。
 大きいめのマッシュルームを用意し石づきの部分を取り、へこんだ方を上にして軽く塩をふり、へこみに水分がたまり始めるまでオーブンで焼く。とろけるチーズでへこみにふたをして、チーズが溶けるまで焼く。
 彼はマッシュルームを「シャンピニオン」としゃれていた・しかし、気取れば気取るほど、犬のふん袋とのギャップが大きすぎる。笑いのチャンピニオンといったところだ。(梶川伸)2018.08.29

更新日時 2018/08/29


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