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豊中運動場100年(94) 第4回大阪野球大会 「幻」から「奇跡」市岡中V

豊中運動場跡地近くに整備された「高校野球発祥の地記念公園」(豊中市玉井町)。豊中運動場は大阪の高校野球発展の原点でもある

 第5回全国中等学校優勝野球大会(現在の夏の甲子園大会)の大阪代表を決める第4回大阪野球大会(大阪高等商業学校主催)が1919(大正8)年8月2日、豊中運動場で開幕した。前年の全国大会は米騒動の発生で中止になり、出場権を得ていた市岡中は「幻の大阪代表校」になってしまった。
 第4回大阪大会に参加したのは、天王寺中、北野中、桃山中、大阪貿易学校、市岡中、関西甲種商業、八尾中、同志学校、明星商業、今宮職工学校の10校。新進チームながら急速に力をつけてきた天王寺中、実力校の市岡中、北野中が優勝候補に挙げられた。
 この大会の大きな注目点は敗者復活戦が導入されたことだった。全国中等学校大会では1916年の第2回大会に導入されたものの、翌17年の第3回大会で敗者復活戦から勝ち上がった愛知一中が優勝してしまい、「一度負けたチームが優勝するのはおかしい」と廃止になった。
 評判の良くない敗者復活戦をなぜ大阪野球大会で導入したのかは不明だが、くしくも全国中等学校大会と同じことが起こり、結局すぐに廃止されてしまう。
 大会は天王寺中と市岡中を軸に進んでいった。
 天王寺中は開幕戦で実力校の北野中と対戦。1点を争う緊迫した試合になったが、中盤に好機を得点に結びつけた天王寺中が、5―4で逃げ切った。市岡中は関西甲種商に10安打を浴びせて圧勝した。2回戦での直接対決6、事実上の決勝戦といわれた。
 雨の中で強行された市岡中―天王寺中は、六回まで天王寺中が7―0と一方的な展開。市岡中は7回表に2点を奪取、9回表には連打で3点をもぎ取り猛追したが及ばなかった。天王寺中の優勝が確定的と見られた。
 しかし、前年に「幻の大阪代表」で終わった市岡中の巻き返しが始まった。
 敗者復活戦は、桃山中に9安打10得点で零封勝ちの快勝。続く準決勝も八尾中に対して9―1の7回コールドで圧勝し、決勝進出を決めた。
 一方、天王寺中は、準決勝で明星商と対戦し、延長13回に及ぶ3時間43分の激闘を演じる。1―1のまま突入した延長戦も互いに決め手を欠く。しかし十三回裏、明星商が2死2塁から谷沢選手の適時打でサヨナラ勝ちを収めた。決勝に進んだのは明星商だった。
 決勝は互いに勢いに乗る明星商―市岡中となった。1点先制の市岡中が逃げ切るかに見えたが、明星商は9回表、1死満塁から谷沢選手の左中間適時打で同点に追い付いた。
 土壇場で同点となる接戦に豊中運動場は大興奮、審判のジャッジさえかき消される大歓声の9回裏、市岡中は無死1塁で金政選手が左翼越えサヨナラ打を放ち、劇的な幕切れとなった。
 明星商・山口投手は4連投、前日には延長13回を1人で投げ抜いている。サヨナラの打球を見てがっくりとひざを落とす姿が痛々しかった。
 一方、市岡中は、前年の悔しい思いをバネに敗者復活戦から奇跡の巻き返しを遂げた。
 第4回大阪野球大会は、関西の野球史の中でも好試合・名試合の大会として記録されている。(松本泉)

◇第4回大阪野球大会(8月2日~6日)
【1回戦】
天王寺中  5―4 北野中
桃山中  15―0 大阪貿易
      (5回コールド)
市岡中  15―0 関西甲種商
八尾中  14―7 同志学校
明星商  11―3 今宮職工
【2回戦】
明星商  7―4 桃山中
天王寺中 7―5 市岡中
【敗者復活戦】
市岡中 10―0 桃山中
【準決勝】
明星商 2―1 天王寺中
     (延長13回)
市岡中 9―1 八尾中
    (7回コールド)
【決勝】
明星商
  000000001=1
  000001001=2
市岡中
(明)山口―梅田(市)里井―鈴木

大阪野球大会

更新日時 2017/09/12


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