編集長のズボラ料理(223) セロリと裂きイカの簡単漬け
遊び仲間5人組で時々、1台の車に乗って遊びに行く。運転役は大変だが、幸い僕は運転しないので、車の中ではノンビリしている。
運転できないわけではない。運転しないだけだ。いや、させてくれないのだ。
グリコ事件(1984年)当時、神戸で勤務していた。大事件だったので取材・執筆が忙しく、なかなか休みがなかった。やっと休みが取れた時、マイカーに乗ろうと思った。安く買った中古のスカイラインだったが、古すぎたためか、バッテリーがあがっていた。充電して、久し振りのドライブを楽しんだ。
翌日からまたグリコ事件に没頭した。久し振りに休みが取れ、マイカーに乗ろうとした。すると、またバッテリーがあがっていた。2回連続は車の古さのせいだと分析して、この車を手放す決断した。
買い替えてもよかったが、どうせならマイカーなし生活に大転換しようと決め、廃車にした。たしか1万円払ったと思う。
迷宮入り事件のような展開の文章になってしまったが、何を言いたいかというと、もう30年も車を運転していない、という事である。しようとも思わないし、させてもくれないということだ。
そうなると、5人組の遊びの際、僕は車での移動中、いつもノンビリしている。ノンビリしていれば、口が寂しくなる。同じように思う仲間がいて、いつもおやつを何種類も持ってくる。運転役以外は、それをバクバク食べる。
おやつの中には常に、スルメ・裂きイカのたぐいが含まれている。これは旅の友の王様様だと思う。だから何をさておき、イカを食べる。しかし落とし穴がある。よほど意思が強いないと、食べダスと途中で止まらない。
それだけなら、ひまつぶしにいい。ところが、イカはお腹の中で膨張する。目的地に着いて昼ご飯を食べようとすると、満腹で入らなくなる。
帰りもヒマだからバクバク食べる。別れる前は高齢の夕食だが、満腹で入らない。ビールも入らない。その原因はすべてマイカーを廃車にしたことにつきる、だから僕は、グリコ事件の犯人を憎む。犯人を憎んでイカを憎まず。
裂きイカはこのようにし食べるものだと思っていた。ところが、2カ月に1度行く医院の待合室で時間待ちの時に読んだ雑誌に、料理としての使い方が載っていた。それをズボラ料理にしてしまおう。
セロリの表面をピーラーでそぎ、適当な長さに切ったあと、縦に包丁を入れて細長く切る。ビニール袋に裂きイカと一緒に入れて塩をふり、袋の上からもんでしばらく置く。セロリから出た水分を絞り、スダチを絞って混ぜる。スダチがなければ、レモンなどかんきつ類なら何でもいい。最後に大葉の細切りをふる。これならおやつではなく、おかずだから、お腹がいっぱいになったとしても納得できる。(梶川伸)
更新日時 2016/09/28