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編集長のズボラ料理(141) タルタル詰めエビフライ

卵の白身だけを使ってもよい

 洋食の王様は何か。エビフライではないかと思う。その結論に至る過程を明らかにする。
 まず、洋食の主役級にはどんな料理があるか考えてみた。ステーキ、ビーフシチュー、グラタン、トンカツ、ハンバーグ、エビフライ、豚のショウガ焼き、オムライス、カレーライス、スパゲッティー・ナポリタン。そんなもんだろうか。その中で、王様候補を絞っていく。
 洋食は洋食屋で食べなければならない。ステーキはどうか? 神戸ビーフのようなブランド肉の場合は洋食屋ではなく、ステーキハウスということになり、洋食のカテゴリーから外れてしまう。
 ビーフシチューが王様になるには、欠格条項がある。王様は家来を従えてなければならない。キャベツの千切りだとか、ジャガイモだとか。シチューは単品で、家来はいないのだ。グラタンもしかり。
 ハンバーグ、豚のショウガ焼き、トンカツはワンプレートの中にキャベツなどを従え、王様の有資格者ではある。しかし、サラリーマンの昼の定食の印象が強いので、王様にはなりきれない。なったとしてもサラリーマン社長のようなもので、正統派ではない。成り上がりだろう。
 オムライスは主食と副食の一体型食べ物の代表格と言ってもいい。かけるのはデミグラスソースなのかケチャップなのかという大きな問題を提起し続け、存在感はあるが、威厳という点では、王様の器なのかどうか。
 カレーライスはカレー専門店がいい。食べるは5分半ほどですむから、王様としての落ち着きに欠ける。ナポリタンは喫茶店でもいい。そこでは、週刊誌を読みながらでもいいのだが、それでは王様としての集中力に欠けるのではないか。
 ということで、消去法を採用すると、王様はエビフライということになる。洋食屋の定番のフライ物のセットでエビフライが入れば、ぐっと貫禄が増す。そして、エビフライだけはタルタルソースがかけてあり、他の違いを鮮明にする。それなら、タルタルをエビの中に入れたら、大王様になるに違いない。
 ゆで卵を作り、細かく切って、マヨネーズで和え、黄身も入ったタルタルソースを作る。軽く塩、コショウを加え、あれば粉のパセリもいれる。エビは頭を除き、背わたを取る。腹側に切れ目を入れ、そこにタルタルを詰める。小麦粉をつけ、溶き卵に通し、パン粉をつけて揚げる。大王様になっただろうか。(梶川伸)2015.08.10

タルタルソース

更新日時 2015/08/10


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