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編集長のズボラ料理(116) ネギのバルサミコ炒め

ネギは少し歯ごたえが残った方が、僕の好みだ

 和製ハーブの1番は、ネギだと確信している。家で焼き飯を作る際も、卵トネギさえあればいい。とはいっても、ネギを4本や5本も使うわけではない。緑色を散りばめる程度ではあるが、ないと困る。
 だから、僕は家の小さな庭に、いつもネギを植えている。スーパーでネギを買う時には、必ず根のついたものにする。根の部分を切って土に埋めると、やがて伸びてくる。それを使う。たくさん収穫できるわけではないので、庭にはネギの根がたくさん顔を出している。うどんを食べる時も、庭のネギを刈り取って入れる。
 ところが中にはネギ嫌いの人がいて、浮いたネギをはしでどんぶりの内側の壁に移動させ、その反対側に口をつけ、つゆをすする。何ちゅうことをするのか。ネギを邪魔者にするなんて、許せない。
 20年年近く前、高松に住んでいた。讃岐うどん大好き人間の県だから、みんなネギを丁重に扱う。例を挙げてみる。
 かま揚げうどんで人気の「長田」という店があった。かま揚げはできるのに時間がかかる。そこで、とっくりに入れたつゆが先に運ばれてくる。そのつゆを器に注ぎ、うどんができあがるのを待つ。
 テーブルの上には、つゆに入れるネギが、どんぶりに山盛りになって置いてある。うどんが運ばれてくるまで手持ちぶさたなので、客はネギをつゆにつけて食べまくる。ネギとうどんの関係とは、そんなもんである。ネギをよけてつゆを飲む人は、思い知るべしである。
 店に壁には、「ネギだけ食べないでください」と注意書きが張ってあった。ネギはうどんと同等の存在感を持つのである。
 「中村」という店は、店の横が畑になっていて、ネギが植えてあった。客はまず、ネギを刈ってきて、備え付けの包丁で刻む。準備を整えてから、うどんを頼む。これが、ネギとうどんの関係の極地ではないか。ネギ嫌いの人に見せてあげたい。
 ただ、みんなが同じ行動パターンなので、ネギが余って、山盛りになっている場合がある。ネギを刈りたいと思って店に行っているのに、その必要がない。これは悲しい。中村では、ネギはうどん同様に主役なのだった。
 テレビか本を見ていたら、焼いた肉(あるいは魚だったか)にネギソースをかけていた。僕としては、ネギを主役にしてあげたい。では、どうするか。簡単である。ネギソースだけ食べればいい。
 白ネギを斜め切りにする。フライパンにオリーブオイルをひいて、ネギを炒める。しんなりしてきたら、バルサミコを加えて、さらに炒める。最後にコショウをふる。メーンの食材が留守だから、ネギの一人舞台となる。(梶川伸)2015.01.28

讃岐うどん バルサミコ

更新日時 2015/01/28


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