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豊中運動場100年(22) 第2回学生連合野球大会  関西の強豪17中学が出場

1913年12月の大阪の歳の市。折からの不況で人出は少なく閑散としていた

 開場2年目となった1914(大正3)年。
 日米野球戦や日本オリンピック大会などビッグイベントが目白押しだった前年と異なり、全国レベルの大会はなかった。全国的な不況が深刻さを増し、銀行の休業や取り付け騒ぎが起こっており、スポーツ大会どころではないという空気が広まっていた。一方で7月に欧州で始まった戦争は戦線が拡大して第一次世界大戦となり、8月には日本も参戦する。先行きの不透明感が追い打ちをかけた。
 この年に豊中運動場で開かれた最大の大会は、8月1日に開幕した美津濃運動具店主催の「第2回関西学生連合野球大会」だった。前年の第1回大会は参加チームの半数がクラブチームで、優勝戦もなく、どちらかというとイベント的な色合いが強かった。しかし第2回大会は関西の選(え)りすぐりの強豪17校が出場。東海地区から愛知一中、大垣中が参加して大会としても広がりができた。
 中等学校野球の人気が急上昇する中で、関西のナンバーワンを決める大会とあって炎天下にもかかわらず豊中運動場には連日1万人近くのファンが詰め掛けた。
 8月1日、午前10時に開幕。この日は4試合を予定していた。初日から好ゲームになるとの期待からテント張りの観覧席は超満員になったが、やや拍子抜けの結果が続いた。
 第1試合は明星商業―成器商業。両チームともに失策が続出する乱戦となる。明星商業は7回までに3安打ながら14点を挙げ、6回に2点をとっただけの成器商業を突き放してコールド勝ちした。
 第2試合は京都一商―平安中の予定だった。ところが平安中が試合開始時刻に現れなかったため没収試合になる。当時、「遅刻のため没収試合」は珍しいことではなかった。
 第3試合は大阪商業―伊丹中。この試合も一方的な試合になる。大阪商業が1回にいきなり6点を先制。伊丹中は攻守ともに焦りが出たところをつけ込まれ、大阪商業が7回コールド勝ちを収めた。
 第4試合は東海の雄・大垣中と京都二中が対戦。この日一番の好ゲームと前評判が高かったが期待外れに終わる。京都二中の藤田投手が大垣中打線を7回まで無安打に抑える好投。一方、京都二中の打線は尻上がりに調子を挙げ12点を挙げる。結局、京都二中が7回コールド勝ちとなった。
 3試合の7回コールドゲームと没収試合。大熱戦を期待していたファンは少しがっかりとして豊中運動場を後にした。(松本泉)
 【第2回関西学生連合野球大会第1日結果】
京都一商  9―0 平安中(没収試合)
大阪商業 16―2 伊丹中(7回コールド)
京都二中 12―1 大垣中(7回コールド)
明星商業 14―2 成器商業(7回コールド)

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更新日時 2014/04/22


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