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身近な生き物たち⑤ 待兼山の植物

ヤマハギ。秋の七草の1つで、万葉集で最も多く詠まれた花。花期は6~9月。待兼山周辺に分布

 大阪大学豊中キャンパスの北西部にある待兼山は、住宅地のそばにある。それでいながら、1000種類以上の昆虫が確認され、豊かな自然を残している。それは同時に、さまざまな植物が自生していることも意味している。

 しかし、待兼山を含む豊中キャンパスで観察できる草花を網羅した「キャンパスに咲く花 阪大豊中編」を編集した大阪大学出版会の栗原佐智子さんによると、「その多様性は徐々に失われつつある」という。昔の待兼山は里山として整備されていたが、今は年に1度、大学が業者に委託して草刈りをするだけにとどまっている。「放っておけば多様性に富んだ山になるというわけではない。ある程度整備をしないと、ササが生えすぎて低いところに日光が届かず、下草が消えてしまうなどの影響が出る。今年見られた花が、来年はないという状況も少なくない」

 これからの季節によく見られる花としては、秋の七草に数えられるヤマハギが挙げられる。同じマメ科のアレチヌスビトハギ、マルバヌスビトハギもピンクのかれんな花を見せるが、こちらは草むらに入ると果実が衣服にくっつくので、注意しよう。(礒野健一)

大阪大学 待兼山

更新日時 2011/09/08


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