編集長のズボラ料理(880) ジャガイモの甘辛焼き
ジャガイモは食材として、使い道がバラエティーに富む。単に蒸したり煮たりするだけでも、おいしく食べられるから、便利な食べ物だ。
意外な食べ方に出会うこともある。毎日新聞旅行の遍路旅の先達(案内人)をしていたころ、愛媛県宇和島市、遊子(ゆす)の段畑でも経験した。
遍路を知ってもらうために、四国を知ってもらう。それが先達としての僕の方針だった。だから、なるべく地元のものを昼食に選んだ。四国でなければ見られないような場所にも案内した。
バスで細い三浦半島を先端の方に進んでいくと、最後に海から切り立った段々畑に行き着く。元は60度もある急斜面。1.5メートルも石を垂直に積んで壁を造り、下と上の斜面の差で、幅わずか70センチほどの畑地を造り出していた。
高い所では60段以上もあるから壮観だ。「耕して天に登る」という言葉を、地元の人は口にする、その維持・管理に敬意を払う。それを遍路旅のメンバーに見てほしくて、行程の中から2時間を絞り出し、寄り道をした。
地元のお年寄りに話を聞いた。
ーーこの地区は江戸時代は農地がとれず、農産物とは縁がなかった。ところ藩からサツマイモを作るよう命じられ、畑地を作るようになった。しかし、今のような景観になったのは、私が子どものころ。小学生のころ石積みを手伝った。サツマイモに、米と同じくらいの値がついた。それが段畑が上へ上へと伸びて行った理由だった。やがて、サツマイモ栽培をしていた人が海の仕事へと変わっていった。そのため、段畑を維持・管理するのは大変で、NPO法人を作って守っている。今はジャガイモを作って売っている。
段々畑の下に、「段畑を守ろう会」が運営する店があり、畑ちゃんアイスを食べた。すりおろしたジャガイモを練り込んでいる。これは珍しいと思った。ただ、ジャガイモの味を感じたかというと、そうではなかったが。
今回のズボラはジャガイモにした。それほど珍しい訳ではないが、味はする。
ジャガイモは皮をむいて、輪切りにする。レンジでチーンをして、火を通しておく。しょうゆ、みりんにだしの素を少し加えて混ぜてたれを作り、ジャガイモをしばらく漬けておく。水分をふいてオーブンで焼く。ソーセージを細長く切ってたれにつけ、これも軽くオーブンで焼き、ジャガイモに添える。
四国全体を知ってもらうと偉そうに書いたが、実は僕自身が食べたかったり、行ってみたかったりするのが本音で、大変むしのいい遍路だった。(梶川伸)2026.06.26
更新日時 2026/06/26